スティーブンス・ジョンソン症候群

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アレルギーによる副作用

「クームスの分類により4つに分けられる」

  • タイプⅠ(アナフィラキシー)。
    アナフィラキシーは薬剤投与後直ち(5~30分くらい)にびまん性紅斑、掻痒、膨疹、血管性浮腫、気管支痙攣、 喉頭浮腫、腸蠕動停止、低血圧、不整脈といった症状を呈し、死亡することもあります。IgEを介した免疫反応で、IgEがマスト細胞・好塩基球へ結合しヒスタミン等を遊離させるのでした。
    ペニシリンにアレルギーのある人の割合が約5%、抗菌薬全体で見るとアレルギーのリスクは1~3%とされています。ペニシリンでも0.001~0.05%。
  • タイプⅡ免疫グロブリン(IgG、IgM)による自己臓器への障害によるもので、間質性腎炎や溶血性貧血などがあります。投与1週間ほどで出現します。
  • タイプⅢ免疫複合体によるもので、血清病様反応を起こします。これも投与7~10日後ほどに出現します。原因としてセファクロル(ケフラール)内服が有名です。
  • タイプⅣ免疫応答によると思われている副作用
    タイプⅣはTcellを介した遅発性の過敏性反応で接触性皮膚炎があります。
    伝染性単核症(EBV、CMVによる)でアンピシリン投与すると50~80%の患者で皮疹が出現します。同様の症状は、慢性リンパ性白血病、高尿酸血症、アロプリノール服用時のアンピシリン投与でも起こります。 一般にウイルス感染では薬剤性の皮膚反応の出現頻度が増加します。 Stevens-Johnson症候群は多形滲出性紅斑の重篤なものとして知られます。一過性のインフルエンザ様症状の後に全身の粘膜に紅斑を主体とする病変を呈するものです。50%が薬剤性とされ、類縁疾患にTEN(Toxic epidermal necrolysis:中毒性表皮壊死症)があります。これはほとんどStevens-Johnson症候群とオーバーラップしていますが、 死亡率は30~40%とされています。Jarisch-Herxheimer 反応は梅毒・ライム病などのボレリア感染症においてペニシリンなどの抗菌薬を投与すると数時間後に発熱、 悪寒、筋肉痛、頻脈といった症状を起こすものですが、破壊された菌体が反応を起こすと思われています。
  • その他  播種状紅斑丘疹様発疹

スティーブンス・ジョンソン症候群

スティーブンス・ジョンソン症候群(表皮の剝離面積が体表面積の10%未満)及び中毒性表皮壊死症(表皮の剝離面積が体表面積の10%以上):
粘膜皮膚眼症候群ともいわれ、急激に発症する皮膚・粘膜の炎症性疾患です。
厚生労働省が把握する数値では、全国で年間に250-300人発症(死亡率17-25%)している。多くの症例で白血球数増多または減少、CRP高値を認め、多臓器障害(消化管出血や呼吸器の障害)を生じることがある。

重症型多形滲出性紅斑(erythema exsudativum multiforme major:EEMM)と同義語とされている。これらの皮膚疾患の中で最も重篤とされているのが中毒性表皮壊死症である。
中毒性表皮壊死症(toxic epidermal necrolysis:TEN)は,1956年,Lyellが初めて報告したことからライエル症候群(Lyell syndrome)とも呼ばれる。類似症状を示す疾患としてブドウ球菌性TEN(staphylococcal scalded skin syndrome:SSSS)や輸血後の移植片対宿主病(graft versus host disease:GVHD)などがある。薬の投与から主に1-2週間たって、皮膚にかゆみや違和感を生じます。発疹、水泡ができ目が充血してきます。
やがて全身に広がり皮膚がただれ、火傷したかのようになり高熱(40度を越えることも)を発します。ひどい場合は喉や肺、内臓もただれます。目の結膜や角膜もおかされます。軽い人でも角膜細胞が死傷してしまうため、目の表面が混濁し血管が進入してきます。徐々に視力が低下していき10年経って失明した、ということもあります。

  • 発疹や高熱によりも半日から3、4日程度前に、眼の痛みや充血を自覚し、目の異常は発疹と同時あるいは発疹に先行して生じています。眼の中に偽膜と呼ばれる膜様物が生じている場合には、眼表面に著しい炎症が存在しています。
    眼後遺症を伴った患者さんの調査では、全例が、口唇や口腔内の出血とびらんを伴い、爪の脱落を生じたか、現在爪の変形を伴っていました。

急性期には結膜炎、結膜上皮びらん、角膜上皮障害、虹彩炎をきたします。軽度の涙液分泌低下や点状表層角膜症を認めるのみのことが多く、人工涙液やヒアルロン酸製剤の投与、涙点プラグなどの処置が行われます。
視機能が保たれているものでも、眼瞼や睫毛の異常が残存し、重症例では、眼表面の炎症や障害が繰り返し生じます。 時に両眼とも失明状態となる事も少なくありません。視機能の回復のためには、移植などの眼表面再生術が必要となりますが睫毛乱生や眼瞼の異常を伴う例では治療が困難です。

  • 健康な眼では、角膜を角膜上皮が、結膜いわゆる白目を結膜上皮が覆っています。
    角膜と結膜の境目である、幅2-3ミリの部分は輪部と呼ばれる場所であり、輪部には角膜上皮のステムセルが存在します。
    SJS やTEN の急性期、全身の皮膚や粘膜に発疹、びらんを生じているとき、眼の表面に
    も炎症を生じて、びらんを生じます。このとき、輪部上皮がすべて消失してしまうと、眼
    の表面が修復できなかったり、あるいは修復する際に結膜上皮が角膜のうえに伸展し、角
    膜表面が結膜上皮で覆われることになります。結膜上皮とともに、血管も侵入し、透明な
    角膜が混濁します。角膜が幸い透明に治っても、涙がほとんどでないドライアイを伴います。、SJS では全てが少ないドライアイとなります。は涙腺の導管が閉塞することに加えて、涙へ粘液を分泌するゴブレット細胞が消失、油を分泌するマイボーム腺が消失して
    眼の表面が乾いてしまいます。
  • スティーブンス・ジョンソン症候群・中毒性表皮壊死症の治療
    まず被疑薬の中止を行う。皮疹部の局所処置に加えて厳重な眼科的管理、補液・栄養管理、感染防止が重要である。
    治療指針ではステロイド薬を第一選択とし、重症例では発症早期(発症7日前後まで)にステロイドパルス療法を含む高用量のステロイド薬を投与する。
    さらにステロイド薬で効果がみられない場合には免疫グロブリン製剤静注療法や血漿交換療法を併用する。
  • ステロイド療法
    プレドニゾロンまたはベタメタゾン、デキサメタゾンをプレドニゾロン換算で、中等症は0.5~ 1mg/kg/日、重症は1~ 2mg/kg/日で開始する。
  • ステロイドパルス療法
    パルス療法は、メチルプレドニゾロン500mg~ 1,000mg/日を3日間投与する(小児の場合、小児の標準的治療法に準ずる)。中等症の場合は、より少量(250mg/日)の投与で効果がみられることがある。betamethasone
    (8 mg_day)×5 日間投与,以降漸減).その後症状は劇的に改善.
    初回のパルス療法で効果が十分にみられない場合、または症状の進展が治まったのちに再燃した場合は、数日後にもう1クール施行するか後述するその他の療法を併用する。
    パルス療法直後のステロイド投与量は十分量(プレドニゾロン換算で1~ 2mg/kg/日)を投与し、漸減する。
  • ステロイド投与で充分に効果がみられない場合
    ステロイド薬投与の効果がみられないにも関わらず、漫然と同量のステロイド薬投与を継続することは避ける。その際には、ステロイド薬の増量や他の治療法(免疫グロブリン製剤,血漿交換療法など)も考慮する。
    皮疹が軽度でも高度の粘膜疹(例:眼表面上皮のびらん,あるいは偽膜形成)がみられる場合には、眼科受診を行い、発症初期にパルス療法など副腎皮質ステロイド薬の大量投与を行う。
    ・ヒト免疫グロブリン製剤静注(IVIG)療法
    一般に5~ 20g/日、3~ 5日間を1クールとして投与する。
    ・血漿交換療法
    進行がくい止められない重症例に併用療法として、もしくは重症感染症などステロイド薬の使用が困難な場合に施行する。

Stevens-Johnson 症候群診断基準
(1)概念
38℃ 以上の発熱を伴う口唇,眼結膜,外陰部などの皮膚粘膜移行部における重症の粘膜疹および皮膚
の紅斑で,しばしば水疱,表皮剥離などの表皮の壊死性障害を認める.原因の多くは,医薬品である.
(2)主要所見(必須)
1.皮膚粘膜移行部の重篤な粘膜病変(出血性あるいは充血性)がみられる.
2.しばしば認められるびらん若しくは水疱は,体表面積の10% 未満である.
3.38℃ 以上の発熱がある.
主要項目の3 項目を全てみたす場合SJS と診断する.

(3)副所見
4.皮疹は非典型的ターゲット状多形紅斑である.
5.角膜上皮障害と偽膜形成のどちらかあるいは両方を伴う両眼性の非特異的結膜炎を認める.
6.病理組織学的に,表皮の壊死性変化を認める.
ただし,ライエル症候群(Toxic epidermal necrolysis: TEN)への移行があり得るため,初期に評価
を行った場合には,極期に再評価を行う.
「Stevens-Johnson 症候群診断基準2005」から引用

TENの診断基準
広範囲な紅斑と全身の10%以上の水疱、表皮剥離、びらんなどの顕著な表皮の壊死性障害を認め、高熱と粘膜疹を伴う。原因の大部分は医薬品である。
① 体表面積の10%を超える水疱、表皮剥離、びらん
② SSSSを除外できる
③ 発熱
主要3項目すべてを満たす場合はTENと診断
治療等の修飾により体表面積の10%に達しなかったものを不完全型

DIHSの診断基準(DIHS:drug induced hypersensitivity syndrome)
高熱と臓器障害を伴う薬疹で、薬剤中止後も遷延化する。多くの場合発症2-3週間後にHHV-6の再活性化を生じる
① 限られた薬剤投与後2~6週に遅発性に生じ、急速拡大する紅斑。しばしば紅皮症に移行
② 原因薬剤中止後も2週間以上遷延
③ 38℃以上の発熱
④ 肝機能障害
⑤ 血液学的異常:次のうち一つ以上 a.白血球増加(11000以上)、b.異型リンパ球の出現(5%以上)、c.好酸球増多(1500以上)
⑥ リンパ節腫脹
⑦ HHV-6再活性化
典型的DIHS:①-⑦のすべて  非典型的DIHS:①‐⑤のすべて、ただし④に関してはその他の重篤な臓器障害をもって代えることができる

DIHSは原因薬剤が抗痙攣薬、ジアフェニルスルホン、サラゾスルファピリジン、アロプリノール、ミノサイクリン、メキシレチンにほぼ限定されるため、内服薬が明らかになれば疑いやすい。なかでも原因薬剤が抗痙攣薬の症例が多い。抗痙攣薬を内服していて発疹が出てきたら内服開始が数年前であってもDIHSの可能性を考える。顔面の発赤、腫脹が高頻度で粘膜疹は少ない。
DIHSを疑った場合はHHV-6、サイトメガロウイルスの抗体価を測定する
薬疹の診断、原因薬を簡単に確定できる検査はない。薬剤リンパ球刺激試験(DLST)は簡便だが、陽性率は40%程度で感度は高くない。
カルバマゼピン、フェニトイン、フェノバルビタールは重症薬疹を発症しやすく、さらにこの3剤は構造が類似し交叉反応を起こす。安易に抗痙攣薬を変更するよりは中止して経過をみることが勧められている。

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