凝固系検査

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凝固系の検査と抗血栓療法

  
抗血栓療法
血管内で血栓が形成される原因には1)血管壁の異常2)血流の異常
3)血液凝固能の亢進などが挙げられる。静脈血栓や心臓内血栓は血液凝固系が関与し、動脈血栓の成立には血小板系が関与している。

[I]静脈血栓の予防としての抗凝固薬

ヘパリン、経口抗凝固薬、抗トロンビン薬、アンチトロンビンIII製剤などが使用される。

  • ①ヘパリンは生理的凝固阻止物質であるAT-IIIの作用を増強して抗凝固作用を発揮し、局所の二次的血栓の進行阻止、再発予防の目的で使われる。
    ヘパリンは通常は7~14日間程度使用し、以降はワルファリン療法へ切り替えることが多い。
    ヘパリンで多量の出血が起きた場合の中和薬は硫酸プロタミンをヘパリン1000単位に対して10~15mgを10分以上かけて静注する。
    ヘパリンによる血栓症の治療例
    5%GlucoseまたはNs1000ml+ヘパリン10,000~15,000単位を24hrで点滴静注
        APTTを正常値の1.5~2.0倍に保つ。
        静注法は5,000~10,000単位を4~8時間毎にiv
        皮下注は5,000単位を4時間毎に投与する。
  • ②クマリン系抗凝固薬ワルファリンは、VitK依存因子であるII,VII,IX,X因子の産生を阻害して抗凝固作用を発揮する。
    主に血栓塞栓の二次予防に使用される。
    ワルファリンより出血が起きた場合は、ワルファリンの休薬、VitKの静注(軽症1~2mg、重症5~10mg)、新鮮凍結血漿輸注を行う。
    ワルファリン投与法
    5~10mgを3日間連用しPTを行って凝固能が治療域に入ったことを確認して1日1回1~5mg維持量とする。
    ワルファリン作用の増強させるものに抗生物質、蛋白同化ステロイド、非ステロイド系抗炎症剤、高脂血症薬があり、ワルファリン作用を減弱させるものにはRFP,バルビツール酸誘導体、経口避妊薬、VitK, 納豆ねクロレラなど
  • ③ 抗トロンビン薬はトロンビン作用を抑制しフイブリン生成阻害、血小板凝集抑制、血管収縮抑制作用がある。発症48時間以内の脳血栓症や慢性動脈閉塞症などに使用される。
    アルガトロバン(ノバスタン)の投与法
    脳血栓症は 初め2日間、60mgを輸液で希釈し24時間点滴静注, その後5日間、1回10mg、1日朝夕2回/1回3時間点滴静注
    慢性動脈閉塞症 1回10mgを輸液で希釈し1日2回/1回2~3時間で点滴
  • ④ AT-IIIはトロンビンの生理的阻害物質であり、先天性AT-III欠乏に基づく血栓症、AT-III低下を伴うDICに使用される。
    AT-III製剤(アンスロンビンP)の投与法
    血栓傾向  1日1,000~3,000単位を緩徐に静注または点滴静注
    DIC  ヘパリンの持続点滴のもとに1日1,500単位(または30単位/kg)を緩徐に静注または点滴静注。
    その他アンスロンビンP、ノイアート、献血ノンスロンが使用される。

[II]動脈血栓の予防としての抗血小板薬

血小板凝集を抑制し、血栓形成を防止する作用がある。
血小板が刺激されると血小板のリン脂質からアラキドン酸が合成され、さらに、シクロオキシゲナーゼなどの作用により、血小板凝集作用を有するTXA2が合成される。
一方、血管壁ではアラキドン酸から抗血小板作用を有するプロスタサイクリンPGI2が合成されホスホジエステラーゼの阻害によって血小板凝集阻害物質のcAMPが増加し血小板の凝集を抑制する。
塩酸チクロピジン(パナルジン)の投与法
パナルジン(100)2~3T/2~3x
バイアスピリン(シクロオキシゲナーゼ)、バファリン(シクロオキシゲナーゼ)、パナルジン(アデニルシクラーゼ活性)、プレタール(ジホスホエステラーゼ阻害薬)、エパデール(PG前駆体)、プロサイリン、アンプラーグ、ペルサンチン(ジホスホエステラーゼ阻害薬)、ロコルナール(ジホスホエステラーゼ阻害薬)、ドルナー(PGI2)

[III]血栓溶解薬は

血漿中のプラスミノーゲンをプラスミンに活性化させ線溶作用にって血栓(フィブリン)を溶解する。UKに加え、t-PA製剤、UK前駆物質が使用される。
ウロキナーゼの投与例
脳血栓症   1日1回6万単位を約7日間静注または点滴静注
末梢動静脈閉塞症  初期1日6~24万単位静注または点滴静注
心筋梗塞  96万単位+Nsまたは5%Glucose50~200mlを30分で投与
t-PA製剤チソキナーゼ(プラスベータ)の投与法
Ns100ml+1440万単位の10%を1~2分で、残りを1時間で静注する。
t-PA製剤としてアクチバン、クリアクターなどが急性心筋梗塞の治療に6時間以内に投与する。

[IV] 活性型プロテインC

血管内皮細胞上のトロンボモジュリンと結合したトロンビンの作用を受けて活性化され、凝固V及びVIIIを不活化して抗凝固作用を発揮する凝固阻止物質である。
先天性プロテインC欠乏症の人に深部静脈血栓症が起きたときに乾燥濃縮人活性化プロテインC(アナクトC)を投与する。

凝固と出血のバランス

(1)CHADS2 score (凝固のリスクが高い)
   Congestive hesrt failure000001
   Hypertension0000000000000001
   Age>75 00000000000000000001
   DM0000000000000000000000001
000Stroke/TIAの既往000000000002

0点であれば、脳塞栓症の発症は年間2%弱、すべてのリスクがあると年間18%であると報告されている。
0点のみを低リスクとし、1、2点を中リスク、3点以上を高リスクと分類され、2点以上は抗凝固療法が必須。
高血圧に心房細動、特にnon valvularなAFの場合でも脳塞栓の危険が跳ね上がるので抗凝固療法をきちんと行うことによってリスクを1/3近くにまで減らせる
(2)HAS-BLEDスコア(出血のリスクが高い)
Hypertension>160 1
Abnormal renal/lever function(各1点)   1~2
Stroke (脳卒中)   1
Bleeding(出血既往/傾向)    1
labileINRs (INR不安定)     1
Elderly >6500000000000001
Drug/alcohol(抗血小板屋久NSAID,またはalcohol依存は各1点) 1~2
最大スコア9点
3点以上はワーファリンコントロールの定期的な厳格な見直しが必要
止血パラメーターのF1+2(prothrombin fragment1+2)は、活性化された凝固 因子Xaがプロトロンビンに働いてトロンビンになるときにリリースされるペプタイドですがこれによって凝固が亢進しているというバイオマーカーです。
これが高いと凝固が亢進している。モーニングサージはこれが亢進している人こそ脳卒中のリスクが増加している。モーニングサージの集団は出血のリスクでもあるが凝固のリスクも高い。

凝固系の検査
プロトロンビン(II)⇒トロンビン(セリンプテアーゼの1種)
00000000↓ (Ⅸa,Ⅹa,ⅩⅠa,ⅩⅡa)などの凝固因子やプラスミン、カリクレインも
0000000000↓ セリンプロテアーゼである。     
000000000
フィブリノーゲン⇒フィブリン

基準値
TAT(3 ~4ng/ml、4ng/ml以上が異常) PIC(0.80μg/ml以下)
FDP(2.0~5.0μg/ml)  AT-III(70~130%)  D-Dimer (1.0~2.5)
F1+2 (50~170pM) active PAI(150μg/ml以下)

抗血栓療法のマーカー

抗血栓療法には、抗血小板療法と抗凝固療法があります。
凝固活性化状態を評価できるマーカーは複数存在しますが保険診療にはないものも
あります。

●凝固活性化マーカー

(1)(TAT: thrombin-antithrombin complex) 正常値は3~4ng/mL未満
凝固活性化に伴い産生される最終的な酵素はトロンビンですが、トロンビンの一部は速やかにアンチトロンビンと結合して、トロンビン-アンチトロンビン複合体(TAT)が形成され、トロンビン自身は不活化されます。
トロンビンは直接測定することは不可能ですが、TATの血中半減期は3~15分であるため測定することが可能です。血中TAT濃度を測定することで、採血時の凝固活性化の程度を知ることができます。
組織因子(TF)の作用によって凝固活性化を生じますと、最終的にトロンビンが形成されます。
トロンビンがフィブリノゲンに作用し、フィブリノゲンはフィブリンに転換して血栓が形成されます。
トロンビンとその代表的な阻止因子であるATが、1対1結合した複合体がTATです。
TATが高値であるということは、トロンビン産生量が多く、凝固活性化状態にあります。
DICでは凝固亢進による微小血栓形成の結果TATが著明高値となり、AT-IIIが減少する。
TATには次の弱点があります。

  • a) トロンビンは、アンチトロンビンとの結合の他に、TMとの結合などその他の代謝経路もあり、トロンビン産生量を正確に把握できない。
  • b) DICやDVTのような高度な凝固活性化をきたす病態には大変敏感なマーカーです。
    TATは最低値は0ng/mLで、これより低いレベルを評価することはできない。
  • c) 最もartifactが出易いマーカーはTATです。
    TAT 20μg/Lというのは、ほとんどDICレベルです。近日中に脳塞栓を発症するような危険な状態です。
    PT(PT-INR)とともに、凝固活性化マーカーTAT、F1+2、FM
    (SFに類似したマーカー)、D-Dを同時にチェックすることで、より良いワーファリンコントロールができるものと考えられます。
    抗血栓療法を行っていない心房細動でF1+2の明らかな上昇がみられており、凝固活性化状態にあることがわかります。(AspirinはF1+2の値に変化は見られません)
    心房細動症例に対して抗凝固療法治療薬であるワルファリンを投与した場合の、PT-INRと凝固活性化マーカーであるプF1+2との相関関係の間には負の相関関係があり、ワーファリンコントロールを強くしますと(PT-INRを高値でコントロールしますと)、F1+2は低下していますので凝固活性化が是正されていることになります。
    逆に、ワーファリンコントロールが弱くなりますと(PT-INRが低値になりますと)、F1+2は上昇してしまいますので凝固活性化は是正されていないということになります。
    ワーファリン投与中には、十分なコントロールが得られている場合にはF1+2は、正常値よりも低値になります。
    PT-INRが高値になりすぎますと出血のリスクが高くなりますが、PT-INRのレベルとは関係なく血栓塞栓症は生じてしまっています。
    ワーファリンによって凝固活性化がどの程度是正されたかという評価するためには、PT-INR(プロトロンビン時間のINR)や、prothrombin fragment 1+2の定期的な測定が必要です。

上昇する病態:
1)DIC、DIC準備状態
2)深部静脈血栓症(DVT)、肺塞栓(PE)
3)心房細動の一部、僧房弁狭窄症に合併した心房細動
4)その他の凝固活性化状態

関連マーカー:
現在、凝固活性化のマーカーとしては、TAT、F1+2、soluble fibrin: SFやfibrin monomer complex(FMC)など、必ずしも相関はしません。

臨床情報:
大量胸水や大量腹水が貯留している症例では、時にFDPやDダイマーが上昇し、DICかどうか判定しがたいことがあります。
この際、TATが正常であればDICを否定できます。
大量腹水が貯留して、FDP&Dダイマーが著しく上昇した肝硬変の症例
(血小板数低下、フィブリノゲン低下、PT延長の所見もあり)でもTATの測定は必須です。
TATが正常であれば、凝固活性化がないので、ヘパリン類は不要です。
(2)prothrombin fragment 1+2: F1+2 正常値は50~170pM
a)プロトロンビンからトロンビンに転換する際に、プロトロンビンから遊離するペプチドですので、100%トロンビン産生量を反映している。
b) ワーファリンによる抗凝固療法を行いますと、十分な効果が発揮されている場合には、正常値よりも低くなるところまでみることができます。
c) TATよりもartifactが出にくい。
(3)soluble fibrin:SF 可溶性フィブリン
凝固活性化を反映したマーカーです。フィブリノゲンからフィブリンに転換する過程で形成される中間産物です。
(4)D-dimer:DD Dダイマー
血栓(安定化フィブリン)が形成されて、その血栓が溶解しますとDダイマーが血中に出現します。(D-Dが高値であると言うのは、血栓が既に形成されてしまって、かつ溶解したということを意味)
なお、Dダイマーは、artifactが全く出ないというのも強みです。
フィブリノーゲンやフィブリンがプラスミンによって分解されると、fibrin/fibrinogen degradation products(FDP)となる。
FDPは一次線溶(フィブリノーゲン分解産物; FgDP)と二次線溶(フィブリン分解産物;
D-ダイマーなど)の両者を反映する。
そこで、フィブリン分解産物のみを選択的に反映するものとしてD-ダイマーが開発された。
したがって、D-ダイマーの測定は一次線溶のフィブリノーゲン由来の分解産物との鑑別に用いられる。
D-ダイマーは線溶療法のモニター
ウロキナーゼ(u-PA)または、組織プラスミノーゲンアクチベータ(t-PA)による線溶療法において、投与後のD-ダイマーの上昇によりその効果を知ることができる。
高値を示す病態
二次線溶の亢進状態、Pre-DIC、DIC、急性静脈血栓症、薬物投与(ウロキナーゼ、t-PAなど)、肺梗塞

心房細動
Afでは、凝固活性化マーカーのTAT、F1+2、FM(SFに類似したマーカー)、D-Dが有意に上昇している。
Af症例では凝固活性化マーカーが上昇している例が目立つが、
洞調律症例と差がない例も多い。
 

抗凝固療法

【抗凝固療法】
1) 経口薬
・ ワーファリン:経口可能な抗凝固薬は今だにワーファリンのみです。
抗血小板薬は、アスピリン(商品名:バイアスピリン、バファリンなど)、チクロピジン(パナルジン)、クロピドグレル(プラビックス)、シロスタゾール(プレタール)、ベラプロスト(プロサイリン、ドルナー)、サルポグレラート(アンプラーグ)など多数あります。
2) 注射薬
・ ヘパリン類:ダナパロイド(オルガラン)、低分子ヘパリン(フラグミン、クレキサンなど)、未分画ヘパリン(標準ヘパリン)、フォンダパリヌクス(アリクストラ)
・ アルガトロバン(スロンノン、ノバスタン)
・ メシル酸ナファモスタット(FUTなど)、メシル酸ガベキサート(FOYなど)
・ アンチトロンビン濃縮製剤(アンスロビンP、ノイアート、ノンスロン)
・ 遺伝子組み換えトロンボモジュリン製剤(リコモジュリン)
・ 活性化プロテインC製剤(アナクトC)
ワーファリンの効果判定はprothrombin fragment 1+2、副作用チェックは、PT-INRで行うべきです。
未分画ヘパリンを投与する場合には、APTTを1.5倍にとか、2倍に延長させると出血の副作用が生じ易い状況にあります。
ダナパロイドや低分子ヘパリンなどの「改良型のヘパリン」類は、APTTをあまり延長させないために出血の副作用が少ない(APTTが延長しなくても効果は未分画ヘパリンと同等以上です)。
ヘパリン類の効果判定は、FDP、D-D、TATなどで行い、副作用の判定にはAPTTを用います。

基準値
TAT(3 ~4ng/ml、 4ng/ml以上が異常)  PIC(0.8μg/ml以下)
FDP(2.0~5.0μg/ml以下)  AT-III(70~130%)  D-Dimer (1.0~2.5μg/ml以下)
F1+2(50~170pM) active PAI(15μg/ml以下) PIC(0.8μg/ml以下)

抗リン脂質抗体症候群(antiphosphlipid syndrome APS)

自己抗体である抗リン脂質抗体(antiphospholipid antibodies:aPL)が出現することにより血栓傾向となる後天性疾患で、抗リン脂質抗体(aPL)とは、リン脂質あるいはリン脂質と蛋白の複合体に結合する自己抗体の総称である。

症例
35才女性健診で血清梅毒反応陽性を指摘された。妊娠・出産に特記すべき既往はない。
尿所見に異常なし。PT82%(70~100)、APTT47秒(30~40)、
D-D 0.5mg/ml(<1.0)、LDH166(115~245)、CRP0.1mg/dl、Cr0.5、 AST21、ALT18、RPR陽性、TPHA陰性、CH50 35U/ml(30~40)、
抗核抗体160倍、抗ds-DNA抗体陰性、抗カルジオリピン-β2-グリコプロテインI複合体抗体(抗CL-b2-GPI抗体)17.5U/ml(<3.5)
症例の評価
抗リン脂質抗体が陽性ではあるが明らかな血栓症の既往はなく、血栓症の精査は行われていない。
特に中等度以上の力価の抗リン脂質抗体を有する例では無症候性
ラクナ梗塞、微小肺血栓塞栓症などが認められることがあるため、頭部MRI、肺換気血流シンチ、心エコー、あるいは腹部超音波検査、血管造影などを適宜行う必要がある。
SLEの40~80%に抗リン脂質抗体を認めるため、SLEについても精査する必要がある。
抗リン脂質抗体が陽性でも画像で血栓症が認められないときは経過観察とされる。抗体価が高い場合は少量のアスピリンによる抗血小板療法を行う場合もある。
脳梗塞があれば少量のアスピリンまたはワルファリンの適応である。
脳梗塞以外の動脈血栓症および静脈血栓症はワルファリンの適応である。
妊娠中はアスピリン単独投与またはヘパリン連日皮下注射の併用が考慮される。
リン脂質抗体は12週以上の間隔をおいて再検査する必要がある。

APS分類基準
[I]臨床基準
①血栓症: いかなる臓器であっても、画像診断あるいは組織学的に証明された血栓症
②妊娠合併症;
000a. 妊娠10週以降の正常形態胎児死亡
000b.子癇、重症妊娠高血圧腎症、または、胎盤機能不全による妊娠34週以前の早産
000c. 3回以上連続する妊娠10週以前の流産
[II]検査基準
・ループスアンチコアグラント
・IgGまたはIgM型の抗カルジオリピン抗体
・抗CL-β2-GPI抗体
以上のいずれかが12以上の間隔で2回以上検出される
[III]判定:臨床基準1項目以上かつ検査基準1項目以上が存在すればAPSと診断する。

血液検査;
APSは、臨床症状として血栓症または不育症があり、かつ、抗リン脂質抗体である
抗カルジオリピン抗体(β2GPI依存性anticardiolipin anibody:aCL)または、ループスアンチコアグラント(lupus anticoagulant:LA)のいずれか一方以上が陽性である
場合に診断されます。

APSと関連するaPLの主な標的抗原は、β2-グリコプロテインI(β2GPI)とプロトロンビンである。

上記の検査が陽性であっても、血栓症や不育症がなければ、「抗リン脂質抗体症候群」とは言わない。
ただし、検査結果のみ陽性であっても、将来、血栓症を発症すれば、その時点で「抗リン脂質抗体症候群」と言う病名がつきます。
抗リン脂質抗体症候群(APS)を疑った場合には、APTTの延長の有無にかかわらず、LA検査や抗カルジオリピン抗体検査(aCL)もを行う必要があります。

臨床症状
1)血栓症:動脈血栓症、静脈血栓症、脳梗塞、深部静脈血栓症、肺塞栓、若年性血栓症
2)不育症(習慣性流産)以下の妊娠合併症のいずれかを認める。
(ア) 妊娠10週以降の胎児奇形を伴わない流産・死産が1回以上
(イ) 重症妊娠高血圧症候群または胎盤機能不全による妊娠34週未満の出産が1回以上
(ウ) 解剖学的,内分泌学的および染色体異常を認めない,原因不明の妊娠10週未満の流産が3回以上

抗リン脂質抗体症候群APSはアスピリン内服、ヘパリン皮下注を行うことによって、挙児を得ることができます。
下記の場合は、ループスアンチコアグラント(LA)、抗カルジオリピン抗体(aCL)をチェックすべき疾患(必ずLA/aCLを検査すべき)
1)習慣性流産、不育症
2)危険因子が明らかでない動脈血栓症
高血圧症、糖尿病、高脂血症などの動脈血栓症危険因子が明らかでない動脈血栓症では、LAとaCLを行うべきです。
特に、若年性脳梗塞、多発性ラクナ梗塞、腸間膜動脈血栓症、網膜中心動脈血栓症でも測定すべきです。
3)全ての静脈血栓症(深部静脈血栓、肺塞栓など)
4)膠原病(全身性エリテマトーデスに合併)では必須の検査
5)原因不明の、APTT延長、血小板数低下
6)特発性血小板減少性紫斑病(ITP):
特に、ITPに対して摘脾術を行う場合には、深部静脈血栓症や肺塞栓などの血栓症を発症する懸念があり、ループスアンチコアグラント、抗カルジオリピン抗体は必ずチェックしておくべきと考えられます。
もし術前に抗リン脂質抗体が陽性であることが判明している場合には、術後血栓症の予防はより厳重に行う必要があります。
7)その他:
網状皮斑、多発性硬化症、てんかん、心臓弁膜症、黒内障など。

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