大腸

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低分化腺癌
大腸の低分化腺癌(poorly differentiated adenocarcinoma; por)は全大腸癌の4~7%程度である。低分化腺癌は進行が早いため病変が小さいうちからSMに浸潤し、早期癌での指摘は殆どなくまれで進行癌として発見されている。
低分化腺癌では腺管構造を形成しない部分が殆どである。
一般的に大腸癌の多くが直腸からS状結腸に多く、低分化腺癌は右側結腸に多い。
リンパ節転移が高率で脈管侵襲陽性率が高い。粘膜全層が低分化腫瘍細胞によって置換される。
①早期癌における形態的特長
病変径の中央値は11(5~22)mmで肉眼的に陥凹(IIc)を伴う隆起性病変として認識される。
粘膜下腫瘍様の隆起を伴う陥凹病変が早期癌に特徴的でSM深部浸潤以深癌であった。
②進行癌における形態的特徴
病変径の中央値は65(25~100)mmでtype2病変が殆どである。
径10mm以下の大腸進行癌はまれである。
低分化腺癌は進行癌でも右側が多い。低分化腺癌は高分化腺癌からの脱分化により生ずるものが主経路であることが推測され最初から低分化腺癌として発生するものは少ないと考えられている。

進行癌の型
限局型 type1: 腫瘤型
    type2: 潰瘍形成型
浸潤型 type3:腫瘤・潰瘍形成型
    type4:びまん型

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大腸内視鏡検査の禁忌
1.消化管穿孔を認める症例
2.炎症性腸疾患に伴う中毒性巨大結腸症
3.全身不良で合併症が起こると予測される症例

表在型大腸腫瘍の肉眼分類

大腸腫瘍(早期癌、腺腫)の肉眼型は、大きく分けて、隆起型、平坦型、陥凹型に分けることができます。陥凹型は、他の形態と比較して、小さいうちから深部浸潤しやすいと言われています。
下図上段は隆起型
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下段は表面型
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Is+IIc病変とは
通常内視鏡像でIs様に見えるが色素内視鏡観察で腫瘍の辺縁に陥凹局面を有し陥凹内隆起の目立つもの

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LSTの肉眼的亜分類
顆粒型 
0000顆粒均一型LST-GH granular homogeneous type
0000結節混在型 LST-GM granular nodular mixed type
非顆粒型
0000平坦隆起型 LST-NGF non-granular flat elevated type
0000偽陥凹型 LST-NGPD nonigranualr pseudo-depressive type

LST-Gは10~65mmに認め大きくなるにつれて担癌率が上がる。60mmを超えると全て癌で、SM浸潤率も上昇する。
顆粒均一型は60mm以上の病変は存在せず30mm未満は腺腫でSM浸潤は認められなかった。
結節混在型では20mm未満からM癌がみられ20~29mmでSM深部浸潤癌がみられた。
非顆粒型は顆粒型に比して小さな病変でもSM浸潤する傾向がみられた。

緊満感を伴う二段隆起または陥凹内隆起は深達度との関連を認めpSM-m癌の深達度診断能は100%であった。
LSTの肉眼分類は深達度を反映したものではないが形態別に治療戦略を立てられるので意義がある。
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形態は側方発育型 (Laterally Spreading Tumor: LST) で、比較的均一な顆粒状(顆粒均一型)です。LST顆粒均一型 は、ほとんど SM癌がなく、大きくとも腺腫か M癌どまりです。LST 顆粒均一型 の形態がより鮮明です。
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一見Is型に見えなくもないですが、帽子のツバのように辺縁部に浅い陥凹を認め、Is+IIc 型を疑う形態です。
Is+IIc 型は小さいものが多いのですが、ほとんどはSM深部浸潤癌です。通常内視鏡では一見 Is 型に見えなくもないですが、インジゴカルミン撒布で辺縁部を取り巻くように、段差が明瞭な陥凹を認め、Is+IIc 型と判定できます。

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大腸ポリープの各形態
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Ip 000000000000000000 Isp 000000000000000000 Is
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IIa 000000000000000000 IIc
進行癌
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1型進行癌(隆起型)0000002型進行癌(周提のある潰瘍限局型)
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00000周提崩れのある潰瘍浸潤型3型進行癌
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00000正常粘膜に覆われたびまん浸潤型4型浸潤癌
下部消化管におけるEMRの特徴
大腸癌の中には、de novo型発生をするものと良性腺腫が長い期間を経て悪性化するものの両方があると考えられています。
そのため良性のポリープと診断されたものであっても切除する必要性が生じる点が上部消化管との大きな違いです。
病変のほとんどは隆起性病変(Is,Isp,Ip)であり、ポリペクトミーをして診断と治療を同時に行うという大腸独特の考え方のもとに内視鏡治療が行われています。
大腸癌のほとんどが分化型癌であるため陥凹型、平坦型の粘膜下層への浸潤の有無の診断は比較的容易です。
しかし、隆起型は表面を見ても浸潤部を判別することは困難であり
、病変が大きくなればなる程、ひだにまたがって全体像を把握することは困難になるため明らかな浸潤所見のない隆起型ポリープはまずポリペクトミーをして診断と治療を同時に行なっているのが現状です。
大きさが20mm以上の場合は20~30%で粘膜下層への浸潤があるので病理学的検討に十分耐えうるような切除をしなければなりません。
隆起型であれば、明らかな浸潤所見がなければ2~3cmであっても内視鏡的治療を第一選択とします。
アメリカのNational Polyp Studyの結果では内視鏡的切除により大腸癌の発生が76~90%抑制予測されることが報告されています。
しかし、拡大内視鏡によりpit patternによる診断により切除の必要性が絞られ、肉眼型と大きさの要素を加味して、切除するポリープは
①平坦陥凹型(IIc, IIc+IIa)ないしそれらが疑われるもの
②大まかに6mm以上の隆起型・平坦隆起型・・・と簡略化されています。
純粋な平坦陥凹型(IIc, IIc+IIa)に関してはde novo型癌が多く大きさが10mm前の段階で粘膜下層に浸潤するケースが多々あります。

腺腫
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管状絨毛腺腫00000000000管状腺腫
管状腺腫は腺管形態を保ったポリープで腺腫の80%を占め、癌化の可能性は比較的少ない。
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鋸歯状腺腫00000000000絨毛腺腫
絨毛腺腫は発生頻度は約20%で腺腫の中で最も癌化しやすい。
鋸歯状腺腫は過形成性ポリープと腺腫が同一病変内に存在し、松笠様所見を呈する。
【内視鏡的摘除後の追加治療の適応基準】
摘除標本の組織学的検索にて以下の条件をひとつでも認めれば,外科的追加腸切除を考慮する。
1.sm 垂直断端陽性
2.sm 浸潤度 1,000μm 以上
3.脈管侵襲陽性
4.低分化腺癌,未分化癌

早期大腸癌(m癌)

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O-Ip000000000000000000 O-Ip
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O-sp0000000000000000 O-Isp0000000000000000 O-IIa+IIc

早期大腸癌(sm癌)
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SM1(Ip)00000000000000000SM2(Ip)
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SM1(Isp)000000000000000000SM2(Isp)
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SM 1000μm(Isp)0000000000000SM 1200μm(Isp)
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SM3(Isp)0000000000000SM massive(IIc+IIa)

偶発症に関するインフォームドコンセント
下記の所見は偶発症は高い。

  • 直径1cm以上の粘膜切除が必要なポリープ
  • Ip型ポリープ(茎の太いもの)
  • 切除時に通電時間の長くなったもの
  • 抗血小板剤やワーファリンなどを服用していた患者
  • 肝硬変などの出血傾向のある患者

高危険手技と低危険手技

高危険手技
ESD/EMR/EST/PEG
ポリペク
食道静脈瘤手術
消化管ブジー拡張術
超音波ガイド下穿刺術

低危険手技
  生検、粘膜凝固、マーキング、クリップ
  膵・胆道ステント挿入術

周術期の抗血小板薬の取り扱い

JSGE指針では低危険手技ではアスピリン3日間、チクロジピン5日間、両者併用では7日間の休薬を目安としている。
高危険手技では外科手術に準じてアスピリン7日間、チクロピジン10~14日間の休薬と十分な補液、ヘパリンの使用も考慮する。

周術期の抗血小板薬の再開
エビデンスがないがASGE指針では高危険疾患の場合は術後速やかにワルファリンを再開しPT-INRが治療域に達するまでヘパリンとワルファリンの両者を併用する。
内視鏡治療術後出血はその殆どが術後1週間以内に発生しているので術後1週間後を目安にしている。

抗血栓療法中止期間内の血栓症発症

殆どがワルファリン中止例で、抗血小板中止例は少ない。
ワルファリンでは休薬後の再開時に血栓形成が一時的に亢進する(リバウンド現象)。血栓の二次予防では休薬時の血栓症発症リスクが高い。
ASGE(米国消化器内視鏡学会)では、内視鏡手技が安全に行えるのはPT-INR1.5~2.5と定め、低危険手技ではこの目安範囲なら抗凝固薬を継続したままでよい。
高危険手技では5.日前からワルファリンを中止する。
さらに高危険手技では、PT-INRが治療域以下の場合はヘパリン置換療法も考慮すべきとしている。
日本でもJGES指針ではPT-INR1.5以下とし、手技危険度に関係なく
ワルファリンは3~4日前から中止し1.5以下とし高危険疾患では
ヘパリン置換療法も考慮すべきとしている。
血栓塞栓症リスクの高い場合
半減期の長いワルファリンを中止し半減期の短いヘパリンによる抗凝固療法に変更することが推奨されている。
ヘパリンはAPTTを対照の1.5~2.5倍に延長するように投与量を調整する。
手術の4~6時間前にヘパリンを中止するか硫酸プロタミンでヘパリンの効果を中和し術前にAPTTを確認する。術後は可及的速やかにヘパリンとワルファリンを再開しINRが治療域に入ったらヘパリンを中止する。

アスピリン、EPA、チクロピジンの3剤は血小板凝集能を不可逆的に抑制するので休薬後も新生血小板に入れ替わるまで約1週間その抗血小板作用は持続する。

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参考文献
工藤進英:早期大腸癌-平坦陥凹型へのアプローチ,医学書院,1993
渡辺昌彦、大上正裕、寺本龍生、他:早期大腸癌に対する低侵襲手術の適応,日消外会誌,26:2548-2551,1993

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