心不全

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心不全診断と治療の進歩

心不全は全身性かつ進行性の疾患であり、全身の臓器障害を合併する可能性がある。
心機能の4つの規定因子とは、
前負荷、後負荷、収縮力(収縮性)、心拍数であり、前負荷はスターリングの法則が基本となる。前負荷である左室拡張末期容積が増加すればそれに正比例して1回心拍出は増加する。
しかし、心室にはそれ以上拡張できない最大径が存在し、その限界以上にさらに容積詰め込もうとすると心室内圧が上がらざるを得ない。前負荷を増加させていくと心臓の内圧が上がってそれ以上心臓は拡張せずプラトーを形成する。
左室の後負荷は平均大動脈圧と考えて良い。後負荷と1回心拍出量は逆比例の関係にあり、後負荷が増加した場合、正常な心臓は1回心拍出量をたもつためにスターリングの法則に従って可能な限り前負荷予備能を利用する。安静時でも前負荷予備能を使いきっている状態では、後負荷が増加すれば1回心拍出量は低下せざるをえない(後負荷不適合)。ですから、心機能障害のある患者さんは血圧を下げなくてはならない。

高血圧が持続すると初期に心筋細胞肥大と血管新生が同時におこり、慢性期には心筋肥大に見合うだけの血管新生がおこらず心筋細胞は虚血状態となり心機能低下の原因となる。
前負荷はどれだけ心機能の大きさを保つかということであり、後負荷は心臓のアウトプットを出すときの抵抗勢力である。例えば、子供の能力(心収縮力)によって合格率は規定されてきます。前負荷は親のプレッシャーで、後負荷は大学の難易度に当たります。

循環不全において、血圧の低下は、大動脈や頸動脈の圧受容体によって延髄の血管運動中枢に伝えられ、結果として交感神経活性が亢進します。血管では、α1受容体を介した血管収縮が起こり、心臓では、β1受容体を介した心収縮力の増強と心拍数が増加します。
腎臓において腎血流が減少するとRAS系が活性化されて、血管収縮、水・塩分の再吸収が促進されます。このように急性期では代償機転として交感神経やRAS系が働くが、これが長期間続き悪性サイクルに入ると慢性心不全の状態に移っていきます。(アメリカやヨーロッパでは急性・慢性に分けていない)
文献では、収縮不全と拡張不全の比率は50%/50%と言われており、拡張型心筋症(DCM)のような収縮不全は血圧を上げずに心不全を起こしてくるが、EFが比較的保たれている
拡張不全では高齢者に多く血圧を上げて心不全を発症してくる。
左室拡大のない左房拡大所見は拡張不全を示唆する良い指標です。
心機能を有する人が高齢になりCKDやafなどの不整脈を合併すると容易に心不全に陥りやすくなる。
収縮不全の定義は大規模臨床試験においてEF35%以下、時に40%以下となっていたが、
収縮力が保たれているのを心エコーのEFを決める場合は最低限55%以上ないといけない。
収縮機能の保たれた心不全が、心不全全体の約5割を占めている。
心不全の心外性因子は貧血の有無、Crea・eGFR・FT4・TSH、心エコーを調べる。
Rheumatoid factor,MMP-3(matrix metalloproteinase-3),抗CCP抗体(cyclic citrullinated peptide)なども鑑別に必要である。BNP値、心エコー、Swan-Ganzカテーテル、心カテ検査は病態把握や基礎心疾患の鑑別に大切であるが心不全の必須の検査ではない。

一般的に心不全の5年生存率は50%で、重症心不全の3年生存率も50%を切っている。

慢性心不全ガイドラインで、BNP>100pg/mlまたはNT-proBNP>400pg/mlのとき心不全を想定して検査を進めることが推奨されている。
BNPの半減期は約20分、NT-proBNPの半減期は約120分である。BNPには利尿作用などの生理活性がある。
心不全において、拡張期におけるカルシウムイオンの取り込みが減少し結果として収縮期におけるカルシウム放出も減少する。
Na利尿ペプチドとアドレノデュメリンは、アルドステロンだけでなくエンセドリン-1やバゾプレッシンの産生・分泌も抑制する。
一方、AngIIはもちろんエンセドリン-1やノルアドレナリンはアルドステロンの分泌を亢進させる。

0000RAA系 0000000000000000000000000000    キニン系
アンジオテンシノーゲン               キニノーゲン
(副腎から)レニン→ ↓ ACE阻害薬   ACE阻害薬   ↓←カリクレイン
アンジオテンシンI   ↓          ↓  ブラジキニン-----¦
     ↓  ←阻害―ACE/キニナーゼII ―阻害→  ↓     ¦
アンジオテンシンII               不活化ペプチド   ↓
00000000↓RAA系の活性化を抑制0000000000000 キニン系の働きを増強
000000AT1受容体0000000000000000000000       β2受容体  
↓     ↓       ↓            ↓       ↓
血管拡張 交感神経抑制 アルドステロン(BP↑)    NO産生   PGI2産生 
 ↓    ↓     産生抑制(Na↓水分↓)     ↓       ↓
              ↓              血管拡張
      血圧低下
       ↓
  前負荷を軽減+後負荷を軽減

慢性心不全

「慢性の心筋障害により心臓のポンプ機能が低下し、末梢主要臓器の酸素需要量に見合うだけの血液量を絶対的または相対的に拍出できない状態であり、肺または体静脈系にうっ血をきたし、生活機能に障害を生じた病態」と定義される。
何らかの原因により左室の収縮力が低下し全身(前方)への血液駆出を十分に行うことができなくなり、心拍出量は減少し左室より後方への血液うっ滞が生じて肺うっ血を起こすことになる。

JCARE-GENERALのデータでは、高血圧、虚血性心疾患、弁膜症心不全の3大原因であり、その中で、高血圧が最も重要な頻度の高い基礎疾患である。
心不全の1年後の再入院率は約3割に達し、再入院回数が多いほど死亡率も高い。
急性心不全あるいは慢性心不全の急性増悪期の例はうっ血がとれてもBNPが高ければ退院延期や、NYHAⅠ度という状態であっても、BNPが400pg/mLと高い場合などは、2、3カ月後に再受診が必要である。
心不全は、肺静脈のうっ血による呼吸困難が主症状になるので浮腫、頸静脈怒張、肺のラ音、Ⅲ音ギャロップ(奔馬調律)などの有無をみることが重要である。

慢性心不全の病態の特徴は、左室機能の低下、運動耐用能低下、突然死が多い・・などである。日本では虚血性心疾患や拡張型心筋症など左心不全が増えている。

カルベジロールの使用開始は、心不全急性増悪からの回復期で退院前が望ましい(5日以内)。急性期でもうっ血が改善しはじめたらできるだけ早期にβ遮断薬を開始し増量を怠らず極力中止しないことを念頭に置いて治療をおこなう。
エビデンスのあるβ遮断薬はアーチストとメインテートのみである。
メインテートはアーチストの1/4の量で使用するのが指標である。

患者の病状が安定していることを確認の上、カルベジロール1.25mgまたは2.5mgを1日2回に分けて投与開始する。陰性変力作用がある時は利尿薬の増量で心不全の軽減を図ります。利尿薬は強力で即効性のあるループ利尿薬(フロセミド40mgを1日2回投与する)を用いる。
カルベジロール1.25mgから開始し、2.5mg、5mgと増量していき1日量が5mgになれば1か月間隔で20mgまで増量し、20mgに達すればそのまま継続するのが標準的な投与法である。

<<心不全に対するβ遮断薬の作用機序>>
・心拍数減少による心筋消費エネルギーの節約
・心拍数減少による拡張期特製の改善
・レニン分泌抑制による体液貯留や血管収縮の抑制
・カテコールアミンによる心筋障害の抑制
・抗不整脈作用

慢性心不全の治療目標は、予後の改善とQOLの改善である。近年の大規模臨床試験から予後の改善効果はACEを凌駕し、心機能の改善効果も大きく、心不全の増悪を減少させることが明らかになり、ACE阻害薬と共に慢性心不全の基本治療薬としての位置を確立している。
1993年メトプロロール(セロケン)を用いたMDC試験を皮切りにUSCP試験、MERIT-HF試験、で予後改善効果が示され、CIBIS II試験でビソプロロール(メインテート)が予後改善、突然死の抑制をもたらすことも明らかにされた。COPERNICUS試験で重症心不全でカルベシロールが有用性を確立した。MUCHA試験でカルベジロールは保険適用され認可された。
β遮断薬は通常ACE阻害薬と併用して用いられ、用量依存的に心機能の改善効果もみられた。ACE阻害薬は低容量から処方する。(カプトプリルは4時間持続、レニベース、タナトリル、エースコールは24時間持続する。)
カルベジロールではβ受容体のup-regulationは認められないが心筋の交感神経反応が
改善され抗酸化作用が強く、アポトーシス抑制にも関与している。
β遮断薬は心拍数を低下させ、拡張期左室流入の改善を促し、左室のスティフネスの改善に有用であり突然死も著明に減少した。
収縮期血圧が90以下や心拍数が50以下の例は投与を避けるべきである。1.25mgまたは2.5mgを1日2回に分けて投与開始し1~2週間ごとに倍量に増量し5~10mgになれば
1カ月間隔で20mgまで増量し維持量としてそのまま継続するのが標準的投与法である。

心不全
心不全では全身の組織が必要とするのに足るだけの血液を心臓が充満・駆出できなくなった状態であり、
①左室拡張と心筋壁の肥大
②交感神経緊張亢進と全身血管抵抗増加
③RAAとVasopressin系の不活化など代償機転が働くが長期的には慢性心不全をもたらしForrester IVとなり肺うっ血や浮腫を招く。
心不全では細胞外液量やNa貯留量が増加しているので不要な水やNa投与に注意する。
Na制限は2g/day(87mEq)でNaCLに換算して5gとなる。
生食500ml中のNaは77mEqなので20ml/hrは許容範囲となる。
心不全はNa過剰の状態であるからフロセミド投与によって1/2生理食塩液(有効浸透圧150mOsm/L)と同等の尿が排泄される。基本的にはNa等張液は投与しない
すなわち、2Lの尿は1Lは生理食塩液で残り1Lは自由水である。
経口摂取できないときは尿量の半分を自由水として補充すべきである。
従ってNa負荷にならない5%ブドウ糖液を20~40ml/時間で投与する。

NYHA分類(New York Heart Association: NYHA)

心不全の重症度
NYHA  I度
000心疾患があるが症状はなく、通常の日常生活は制限されないもの。
NYHA II度
000心疾患患者で日常生活が軽度から中等度に制限されるもの。安静時には無症状だが、
000普通の行動で疲労・動悸・呼吸困難・狭心痛を生じる。
NYHA III度
000心疾患患者で日常生活が高度に制限されるもの。安静時は無症状だが、平地の歩行や
000日常生活以下の労作によっても症状が生じる。
NYHA IV度
000心疾患患者で非常に軽度の活動でも何らかの症状を生ずる。安静時においても心不全
000狭心症症状を生ずることもある。

米国のフラミンガム研究
大基準としては
夜間発作性呼吸困難、頸静脈怒張、ラ音、心拡大、急性肺水腫、奔馬調律Ⅲ音聴取などが挙げられています。
大または小基準として
治療に反応して5日間で4.5kg以上体重が減少すること、
小基準として
下腿の浮腫、夜間咳嗽、労作時の呼吸困難、胸水、肺活量低下、頻脈>120が挙げられています。
1つの大基準と2つ以上の小基準を満たす場合、もしくは大項目2つ以上で心不全と診断すると提唱されており、簡便に診断する基準になる。

画像の説明

心不全の薬物療法で予後を改善し、有効性が確立しているのは、β遮断薬とACE阻害薬である。

AHAの分類(重症度による心不全治療法の分類)

stage A   
将来、心不全を発症する背景要因を抱えているが、今は心不全ではない。
高血圧、動脈硬化性疾患、糖尿病、肥満、メタボなどを呈するが心不全ではない。
塩分やアルコールの過剰摂取を含めた生活習慣の改善、禁煙、適度な運動などが勧められます。 
それぞれの疾患に対する薬物療法を開始します。
stage B
構造的心疾患(心筋梗塞の既往、左室肥大、無症候性弁膜疾患)、駆出率低下などはあるが心不全の症状が出ていない。
stage Aの治療に加えてACE,またはARB、およびβ-遮断薬(アーチスト)を使用する。
低血圧の場合はβ-遮断薬追加は難しい
stage C
構造的心疾患を有し心不全の既往または現在、心不全がある
stageA,stageBの治療に加えて禁忌でなければACEまたはARBおよびβ-遮断薬を用います。
浮腫があれば利尿薬(ラシックス、ダイアート) 、頻脈(心房細動)があればジゴキシン、心保護目的に抗アルドステロン薬、心機能低下が高度であればカルシウム拮抗薬(アムロジン)を追加
stage D 
内科的治療に不応性でインターベンション(補助循環など)も必要となる難治性心不全
stageA,stageB、stage Cの治療に加えて利尿薬、ACE、β-遮断薬、抗アルトステロン薬、ジギタリスに加えてブロプレスの追加が有効。
ループ利尿薬とサイアザイド系利尿薬の同時投与やラシックス静注、さらに重症であれば強心薬はやむおえない。
対症療法であるが強心薬の経静脈投与とともにラシックス点滴静注を試みる。

心エコー装置で左室の大きさや左室の壁肥大のチェック

左室拡張末期径は、55mmを超えると異常と考えられ、心臓の中隔壁-後壁間の厚さは11mmを超えると異常と考えられます。
AoD(大動脈径) 35mm以上だと拡大
IVC (下静脈径)  太さが23mm以下で呼吸で50%以下に虚脱するのは右房圧上昇無し
LAD(左房径) 42mm以上だと左房拡大
LVDd(40~55)左室拡張末期径 / LVDs(22~49)左室収縮末期径
000LVDdは55mmより大きいと左室拡大と判定
LVDs(22~49)左室収縮末期系は左室収縮能をあらわし拡大することにより収縮能低下している  
IVST(8~12)心室中隔壁厚
PWT(8~12)左室後壁厚 
拡張末期左室壁厚を見て12mmを超えていると左室肥大と判定
000IVST(心室中隔厚)+PWT(心室後厚) 
                 25~30  軽度左室肥大
                 30~40  中等度
                 40以上  高度

  • 左室内径短縮率(%FS)fractional shortning(30~50)
    心臓のの動きに関しては、拡張末期径と収縮末期径の差を拡張末期径で割った左室内径短縮率fractional shortening (%FS).が30%未満だと収縮が悪くなっていると考えられます。
    30%未満であれば左室収縮能の低下
    0000左室内径短縮率は( LVDd― LVDs)/LVDdで計算される
    0000EFと良く相関し心臓が大きかったり小さかったり左室の動きが悪いときに%FSがEFより心機能をよく表している。
  • EF(60~80)左室駆出分画 (収縮性を表す)
  • E/A比
    心房内の血液は、全体の2/3が左室の拡張による陰圧(E波)(僧帽弁開放)で残りの1/3は左房の収縮による血液の流入(A波)(僧帽弁閉鎖)によって左室に入る。(E=early fillingでA=atrial fillingの略)
    心機能が正常であればE/A>1となるはずである。

E/A<1であれば左室拡張機能低下が疑われ左室の陰圧が弱まるためE波は平低化し左室への血液流入の殆どは左房収縮に頼っている状態である。
50才を超えるとE波が低くなりA波が高くなる。
E/A:左室拡張早期ピーク血流速(E)/心房収縮期ピーク血流速(A)比

正常では、左室弛緩が良いため左室圧が大きく下降し、左房・左室較差ができるためE波が高くなる(E/A>1)。
これにより大量の血流が左房から左室へと移動すると左房・左室較差が急激に減少するとDTは短縮しDT<240msec
DT :拡張早期波の減速時間(DTは心室スティフネスの良い指標で短ければ短いほど左心室はよりスティッフネスである)
000000000
0000E波は高くE/A>1 となりDTは短縮しDT<240msec
E/Aが1未満のときは左室の拡張能が低下し左室の伸展性が悪化し左房収縮に頼っている

浮腫があると、下大静脈の拡張が見られる。弁膜症の逆流などシャント疾患の評価も行い、拡張能はパルスドップラーなどで左室流入血流を観察し、急速流入期波(E波)と心房収縮期波(A波)の比を測定することによって推測する。

  • 高血圧性心不全は、高血圧によって心臓肥大が起こり、左房から左室に血液が入りにくい拡張障害が生じます。
    高血圧から収縮不全への進行に関しては、高血圧で左室肥大が生じ、冠血流と心筋の厚さとの関係で酸素の需給のバランスが失われ、内膜側の線維化などが生じて収縮不全が起こったり、また、冠動脈硬化による心筋の障害(心筋梗塞)によって収縮障害が起こるという機序もあります。
    さらに、高血圧に関連して心房細動の発症も多くなるほか、腎機能障害によって前負荷が増し、心房圧が高くなることによって心不全になる機序も考えられます。

臨床試験のメタ解析から、降圧療法によって心不全の発症は有意に減らすことができると報告されており、左室肥大を抑制できると、心血管イベントを有意に抑制できる。
加齢とともに拡張不全の割合が増えており、60歳以上では3~4割を占めており拡張不全の診断では肺うっ血があれば拡張不全が疑われます。
高血圧性心不全は、ほとんどが「拡張不全」が疑われます

00000000000000000000心不全の診断
00000000000000000000000000
呼吸困難、倦怠感、食欲不振、四肢冷感などの自覚症状があるか
00000000000000000000000000
これらの自覚症状は心疾患に起因しているか(貧血、呼吸器疾患の除外)BNP有用
(BNPは心室から出るホルモンで、心室の伸展刺激によって合成・分泌され、血管拡張作用と利尿作用を有する。)
00000000000000000000000000
000000000000心室収縮機能は保たれているか
000000000000000000000000000000000000000
0000000000低下0000000000000000000000正常または軽度低下
000000000000000000000000000000000000000
収縮不全 (拡張不全合併が多い)00000000000000拡張不全

心エコーで見るのは左室の収縮・拡張能です。実際にはE/A、E/E’が拡張機能の評価に汎用されておりEFが正常であるのに心不全をきたすのは「拡張不全」である。

75才以上では拡張性心不全の割合が高くなり、心不全患者の50%以上を占めると言われる。
無症候性の拡張機能障害ではうっ血性心不全と死亡のリスクが高くなる。
PRESERVE試験では、死亡の25%が心臓突然死、約15%がポンプ機能障害またはうっ血性心不全でした。EF50%未満を軽度低下、40%台に低下したら収縮性心不全に近い状態
と考えられています。
心肥大自体が拡張性心不全の原因でなく、病理的にはstiffnessの主要な決定因子として
線維化した細胞外マトリックスの異常が見られます。
拡張性心不全ではRAA系は重要な役割を果たしている。腎血流が正常であっても
静脈圧が上昇すればレニン産生は亢進する。
拡張性心不全の治療は水分貯留に利尿薬を用いますがRAA系を刺激するので
ACE阻害薬やARBのいずれかを併用しますが、心不全以外の原因で死亡することが
多いのでDMやCKDなどトータルの管理が大切です。

ANPとBNP

ANP(心筋細胞近傍の分泌顆粒の中に存在)BNPも心房に顆粒として蓄えられている。
BNP(心筋細胞から合成され、心臓に何らかの負荷がかかったときに心筋細胞で合成されて分泌される)
ANP/BNPはA型のナトリウム利尿ペプチド受容体に結合し、最終的にはcGMPを介してbiological effectをもたらしているがclearance受容体に結合し、断片化分解されたり、Neutral-end-peptidaseにより分解される。

  • BNPは左室収縮機能のスクリーニングに有用で冠動脈狭窄や発作性心房細動(PAF)のときにも高値を示す。
    多変量解析では年齢、BNP濃度、虚血性心疾患、男性が独立して全死亡を規定している。
    BNPは心室負荷や心筋障害を反映する。BNPにIL-6、トロポニンT、酸化LDL濃度を併用すると有用である。BNPが高値の場合は肥大型心筋症を疑ってみる。主に左室心筋から産生・放産生・放出される。
    収縮障害であれ拡張障害であれ心負荷への対応が破綻していれば鋭敏に上昇し重症度と相関する。左室を減負荷する僧帽弁狭窄、肺塞栓、代償性左室肥大ではBNPは上昇しない。僧帽弁狭窄でBNPが上昇すれば僧帽弁閉鎖不全の合併を、肺塞栓や心房中隔欠損で上昇すれば高度の右心室肥大の合併を考えるべきである。
  • BNPは左房負荷と相関し、左室拡張末期圧とも粗く相関する。
    心筋線維化をすすめるアルドステロンに対抗して分泌される。
    BNPが高ければアルドステロンも高いことが多い。
    心臓に容量負荷がかかったときに正常な心臓なら心拍出量を増やして腎血流を増し尿量をふやし血液量を減らして自分への負荷を取り除きます。
    それが心筋の力だけでは限界でできないときにBNPを分泌しホルモンの力でNaを体外に排出します。
    BNPは通常では70%が心室由来の残りは心房由来とされる。
  • BNPは血管拡張作用、Na利尿作用をもつペプチドであるが、交感神経系、RA系に拮抗する作用を有し線維化抑制作用もあわせ持つ。
    (リスク評価、予後評価の点でBNPはaldosterone,norepinephrine,血漿renin活性よりも感度が高い。)
  • BNPの正常は20 pg/ml以下、70代~80歳以上で60 pg/ml以上、100 pg/ml以上では何らかの基礎疾患を有し、一応の心不全治療開始の基準と考えられる。
    また、退院時、入院中200 pg/mlを切るレベルまでBNPを持ってくれば再入院が少ないとの報告もある。

excuses I hear
拡張型心筋症(DCM)で来院時はFS(左室内径短縮率)で8%、LVDd(拡張末期径)で70mm。
LVDd55mm以上では左室拡張と判定、FS30%未満だと左室収縮能低下
000000000000000
β遮断薬メトプロロール(セロケン)60mgとメキシチール300mgの2剤
(メトプロロール酒石酸塩として1日60~120mgを1日2~3回に分割経口投与)
0000000000000000↓ 
β遮断薬を投与して、2年半くらいまでたちますと、%FSで18%と増加し、LVDdで62mmに拡張が抑制され、自覚的にも心不全は改善されました

治療におけるフォレスター分類(Forrester分類)

心臓の拍出量を表す心係数(2.2 L/min/m2を境界とする)と、静脈のうっ滞の程度を表す肺動脈楔入圧(18 mmHgを境界とする)とから、心不全の状態を4つに分類し、それぞれに適切な治療法を提案するものである。
              
Forrester 分類

    肺動脈楔入圧(mmHg)18未満
左房圧を反映
肺動脈楔入圧(mmHg)18以上
左房圧を反映
心係数
2.2以上
心拍出量・
末梢循環
を反映
Forrester1
肺鬱血(-) 末梢循環不全(-)
 無治療
Forrester2
肺鬱血(+) 末梢循環不全(-)
血管係拡張薬・利尿薬
心係数
2.2以下
心拍出量・
末梢循環
を反映
Forrester3 
肺鬱血(-) 末梢循環不全(+)
 輸液・強心薬
Forrester4
肺鬱血(+)末梢循環不全(+)
 輸液・強心薬
血管拡張薬・利尿薬

Forrester の分類(心筋梗塞時の血行動態)

               Ⅰ.正  常        ・・・心拍出量、肺動脈圧正常 
               Ⅱ.うっ血性心不全・・・循環不全(-)、肺うっ血(+) 
               Ⅲ.循環血液量減少・・・循環不全(+)、肺うっ血(-) 
               Ⅳ.心原性ショック・・・循環不全(+)、肺うっ血(+)

参考
LVEF=(拡張終期容積-収縮終期容積) / 拡張終期容積
LVEF<40% → high risk.

パルスドプラ法
DCT (E波の減速時間)(200±40msec)255以上は拡張能低下
IRT(isovolumic relaxation time)正常値113±13msec
  II音開始点から僧帽弁解放開始点までの時間
  時間が延長していれば拡張機能低下を意味する
AcT(acceleration time)E波のピークに至るまでの時間
DcT(decelaration time)E波のピークからの減速時間(200±40msec)
     AcT/ET<0.4では肺高血圧
Inflow左室流入血流(僧帽弁流入血流)
Outflow左室駆出血流(大動脈駆出血流)

Abnormal Relaxation
  ↓  左室機能が低下すると左室圧が十分下降できず左房・左室較差が減少
  ↓  E波は低くなりE/A<1となる
  ↓ 左室弛緩機能低下はE波を低くしDT>240msec
  ↓
Pseudonormal 左心房圧が上昇すると左房・左室較差が再び増大しE波は
        大きくなりE/A>1となりDT<240msec
        正常波と鑑別不可能になる。
Restrictive  さらに心不全が進行するとE波がさらに高くなりE/A>2
       減速時間がさらに短縮し DT<150msec
        強い心不全や予後不良

拡張機能指標正常値
   パルス・ドップラ左室流入血流指標の解釈
          左室弛緩障害波形    正常波形    拘束型波形
     IRT     >100msec      60~100msec    <60msec
     E/A     <1.0         1.0~2.0       >2.0
     DT     >250msec      150~250msec    <150msec

     IRT:等容性弛緩時間

参考
●浸出性胸水Lightの基準
胸水/血清総蛋白>0.5
胸水/血清LDH>0.6
胸水>血清LDH正常上限x2/3 の1つでも満たせば浸出液と判断する。

ADAが40~50U/L以上あれば結核性胸膜炎と考える
糖↓<60は結核、RA 結核性であればリンパ球性胸水
ヒアルロン酸↑>100は悪性胸膜中皮腫(ADA<50, CEA/TPA/シフラ)

濾出性           浸出性
 透明             混濁

1015              >1018
蛋白<2.5 g/dl         >3.0g/dl
LDH<200            >200
リバルタ(-)          (+)

源流文献
1)ACC/AHA: Guidelines for the evaluation and Management of Heart failure
Circulation.92:1764-2874,1995
2)Heart Disease :A Textbook of Cardio vascular edicine(Eugene Braunwald ed),Pp394-420,pp492-514, UNDERS,Philadelphia,1997
3)Principle and PRZCTICE of MEDICAL INTENSIVE CARE (CARLSON and GEHEB ed),pp1015-1037,pp1079-1102,SAUNDERS,Philadilphia.1993

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