抗生剤分解酵素

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抗生剤がメルトダウンする時

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βラクタマーゼ「陰性」菌にはアンピシリン (ビクシリン) が候補になり、βラクタマーゼ産生菌であれば,
アンピシリン/スルバクタム 、BLNARならセフトリアキソン, セフォタキシムなどが選択されます。
Enpirical therapyでは、重症や複数菌混合感染であれば、
βラクタム薬とアミノグリコシドの併用がより強力な殺菌的効果を発揮します。
βラクタムでは投与回数を多くしたり(血中・組織中薬剤濃度がMIC以上である時間を長くするため)、
アミノグリコシド・ニューキノロンでは1回投与量を多くして12または24時間ごとに投与を行います(濃度依存性の殺菌効果とpost antibiotic effectの存在、 アミノグリコシドの腎・聴力毒性はpeak濃度によらずtrough濃度によるため)。

培養・感受性が判明したら、起因菌に対して感受性が良好で、よりスペクトラムの狭い(特異的な)抗菌薬へ変更することが必要です。
同時に副作用の有無(肝障害・腎障害・薬剤熱・血小板減少・白血球減少・腸炎など)をチェックします。現在使用している抗菌薬が無効だとしたら、その原因(感受性、移行性、膿瘍や人工物への感染の存在があるのか)を評価し、 それに従って抗菌薬を変えるようにします。
治療期間については、基本は合計2週間の抗菌薬の継続です。
膿瘍・膿胸などの存在下では4週間以上の使用が必要です。また、敗血症に陥った症例でも2週以上の使用が勧められます。
長期間の治療を要する場合、耐性菌の出現や菌交代現象の防止に古い世代のペニシリンなどの狭いスペクトラムの抗菌薬は非常に重宝します。

βラクタム系抗菌薬を加水分解する酵素

βラクタマーゼは、ペニシリンやセフィム系抗菌薬に共通するβラクタム構造を認識し加水分解する酵素の総称です。
βラクタマーゼは分子構造から大きく2つに分かれ、セリンβラクタマーゼとメタロβラクタマーゼに分類されます。
クラスA、C、D、は酵素活性の中心にセリン残基を持っているのはセリン-β-ラクタマーゼと呼ばれ、またクラスBは酵素活性の中心にセリン残基を持たず、メタロ-β-ラクタマーゼ(亜鉛-β-ラクタマーゼ)と呼ばれています。
セリンβラクタマーゼはClassA,C,Dに、メタロβラクタマーゼはClassBに分類されます。

  • [I] セリン-β-ラクタマーゼ
    1.クラスAβ-ラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)
    ペニシリンを良く分解するので、ペニシリナーゼとも呼ばれています。産生する菌は、ぺニシリン系及び第1、第2世代セファロスポリン等を分解(耐性を示す)しますが、セファマイシン系、第3世代セファロスポリン及びカルバペネム系抗菌薬は分解せず感受性を示します。
    2.クラスCβ-ラクタマーゼ(セファロスポリナーゼ)Ampc
    腸内細菌、Pseudomonas aeruginosa 等のグラム陰性桿菌桿菌が産生し、主にセファロスポリン系抗菌薬を分解します。
    3.クラスDβ-ラクタマーゼ(OXA型)
    腸内細菌、Pseudomonas aeruginosa 等のグラム陰性桿菌桿菌が産生し、ペニシリナーゼの範疇に入りますが、オキサシリンも分解しますのでこのように呼ばれています
  • [II] メタロ-β-ラクタマーゼ(亜鉛-β-ラクタマーゼ)
    4.クラスBβ-ラクタマーゼ(カルバペネマーゼ)
    イミペネムを効率よく分解し、更にその他のカルバペネム系抗菌薬(パニペネム、メロペネム)に 対しても、中もしくは高度の耐性を示すのでこのように呼ばれています。
    染色体性、プラスミド性含め、Bacteroides fragilis、Srratia marcescens、Klebsiella pneumoniae、Escherichia coli 等複数のグラム陰性菌で確認されています。
    メタロβ-ラクタマーゼ産生菌の場合,PIPC,PIPC/TAZ,AZTのいずれか, またはβ-ラクタム剤以外の薬剤の選択が勧められています。
    メタロβ-ラクタマーゼ産生菌種
    1111緑膿菌、セラチア、肺炎桿菌、大腸菌、000proteus vulgaris、シトロバクター
    000 、エンテロバクターなどから検出されている。
  • [III] Extended-spectrum β-lactamases (ESBLs)
    ClassAβラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)産生遺伝子が突然変異により通常分解できない第3世代セフィム系抗菌薬なども分解できるようになった酵素をESBLsといいます。
    Extended-spectrum β-lactamases (ESBLs)とは大腸菌、肺炎桿菌、プロテウス、などの腸内細菌が産生する新たな抗菌剤分解酵素で、ペニシリン系、セファロスポリン系(第一、第二世代セフィムのみならず第三世代セフィム薬)、モノバクタム系抗菌薬まで分解してしまう酵素です。
    ペニシリンを分解するClassA型酵素の構造遺伝子上に変異が入ったことにより基質特異化が変化し、本来分解しないはずの広域セファロスポリン系薬までをも分解するように なったβラクタマーゼを表す名称です。
    ESBLs産生菌は、1980年代にヨーロッパで最初に発見され、現在、欧米のICUでは分離される大腸菌や肺炎桿菌そしてセラチアやエンテロバクターなどの約30~70%がESBLsで、第三世代セフィム薬(セフタジジムやセフトリアキソンなど)にも耐性を示します。
    一度、ESBLs産生菌に汚染された職員・患者の多くは腸管内にESBLsを保菌し集団発生の原因になります。
    ESBLsと判明した場合はセファマイシン系(CMZ)、オキサセフィム系(LMOX,FMOX)、カルバペネム薬(IPM,MEPM)に変更します。
    クラブラン酸(CVA)はβラクタマーゼ阻害薬によって阻害されることが分かっているので検査ではクラブラン酸の添加によって薬剤感受性が増すかどうかでESBLs産生菌を判定します。
    ESBLs産生遺伝子はプラスミドと呼ばれる遺伝子上に存在し同種間はもとより腸内細菌科の異なる菌種間でも伝達されて腸管内に保菌され耐性機構が他の菌に伝達されます。

Extended-spectrum β-lactamases (ESBLs)産生菌感染症の治療薬

第三世代セフェム薬であるセフォタキシム(クラフォラン)、セフタジジム(モダシン)などに耐性を示すが、ESBLを産生する菌は現在我が国で細菌感染症の治療のために広く使われている抗生物質である第三世代セファロスポリン薬(セフォタックス®、クラフォラン®、 モダシン®、ロセフィン®などに耐性を示します。
セファマイシン系(セフメタゾール、商品名はセフメタゾン)やカルバペネム系(イミペネム、パニペネム、メロペネム、ビアペネム、ドリペネム、商品名はチエナム、カルベニン、メロペン、オメガシン、フィニバックス)の抗菌薬には感性を示し効果が期待できる。
多くのESBLs産生菌は、β-ラクタマーゼ阻害薬であるクラブラン酸やスルバクタム によって阻害される。スルバクタム/セフォペラゾン(スルペラゾン)やタゾバクタム/ピペラシリン(タゾシン) も効果が期待される。
ただし、β-ラクタマーゼ阻害薬が無効のものも報告されている。


●セファロスポリン

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  • ◯第一世代セフィム
    セファクロル(CCL)、セファゾリン(CEZ)、セファトリジン(CFT)、セファドロキシル(CDX)、セファピリン(CEPR)、セファロチン(CET)、セファレキシン(CEX)、セファロリジン(CER)、セフテゾール(CTZ)、セフラジン(CED)、セフロキサジン(CXD)
  • ◯第二世代セフェム
    セファマンドール(CMD)、セフォチアム(CTM)、セフォニシド
    セフォチアム ヘキセチル(CTM-HE)、セフロキシム アキセチル(CXM-AX)、セフォラニド、セフジトレン ピボキシル(CDTR-PI)
    、セフジニル(CFDN)、セフプロジル、セフロキシム(CXM)
  • ◯第三世代セフェム
    セフィキシム(CFIX)、セフェタメト ピボキシル(CEMT-PI)
    セフォジジム(CDZM)、セフォセリス(CFSL)、セフォゾプラン(CZOP)
    セフォタキシム(CTXセフォタックス、クラフォラン)、セフォペラゾン(CPZ)、セフスロジン(CFS)
    セフタジジム(CAZモダシン)、セフチゾキシム(CZX)、セフチブテン(CETB)
    セフテラム ピボキシル(CFTM-PI)、セフトリアキソン(CTRXロセフィン)
    セフピミゾール(CPIZ)、セフピラミド(CPM)、
    セフポドキシムプロキセチル(CPDX-PX)、セフメノキシム(CMX)
    セフカペン ピボキシル(CFPN-PI)
  • ◯第四世代セフェム
    セフェピム(CFPM)、セフピロム(CPR)、

●セファマイシン系抗生物質

セフォキシチン(CFX)、セフォテタン(CTT)、セフブペラゾン(CBPZ)
セフミノクス(CMNX)、セフメタゾール(CMZ)

●オキサセフェム系抗生物質

ラタモキセフ(LMOX)、フロモキセフ(FMOX)


  • [IV]嫌気性菌
    主なβ-ラクタマーゼ産生嫌気性菌としてBacteroides属,Prevotella属,Porphylomonas属などがあげられますが,これらの菌群は本質的にβ-ラクタマーゼを産生しているため,β-ラクタマーゼ阻害剤との合剤が勧められています。

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