胃・十二指腸

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早期胃癌を見つけるための心構え

胃の内視鏡像

内視鏡医は小彎、大彎、前・後壁を瞬時に把握している!!
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CT検査での位置関係

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日常行われている各種止血法

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Forrest
潰瘍の出血状態を分類したもの。1974年にJohn Forrestが「Lancet」に発表したもの。現在は以下のWalter Heldweinによる改変版が広く用いられている。
Active bleeding(活動性出血)
0000Ia:Spurting bleed(噴出性出血)動脈性出血
0000Ib:Oozing bleed(湧出性出血)
Recent bleeding(最近の出血)
0000IIa:Non-bleeding visible vessel(非出血潰瘍底露出血管)
0000IIb:Adherent blood clot・Black base(凝血塊の付着・黒色潰瘍底)
No bleeding(出血無し)
0000III:Lesion without stigmata of recent bleeding(最近の出血所見の無い病変)

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  • 純エタノール局注法
    出血血管に接して周囲3~4か所から純エタノール0.1~0.2mlを周囲3~4か所に局注する。組織障害が強いので胃では合計が2.0mlを越えないようにし、出血点が確認できない場合や潰瘍底全体からのIbには純エタノールは用いるべきではない。
  • 高周波凝固法(接触型) 噴出性動脈性出血は除く
    電極の近傍のみ電流が流れ深層傷害が少ない。
  • アルゴンプラズマ凝固法; 適応はIb
    非接触型の高周波凝固法 (動脈性出血には向かない)
  • ヒータープローブ法(太い動脈は除外)
    発熱ダイオードを内蔵したプローブを出血部に接着させて止血
  • 薬剤散布法
    Ib, IIbが適応、 活動性出血は適応とならない。
  • クリップ止血、HSEは組織障害が少ない。
  • HSEでは12~24時間毎に繰り返し止血しなければならない。
    HSE局注法 適応は出血点の明瞭なIa, IIaである。

色素内視鏡検査法

  • コントラスト法(インジゴカルミン)は胃または大腸で用いられ、腺管上皮からなる溝部分に色素が溜まることを用いたコントラスト法である。
    (Barrett食道癌、胃癌の広がりや質的診断、大腸腫瘍の存在・質的診断に適用)
  • 反応法(コンゴーレッド)は萎縮性胃炎における酸分泌領域が黒変するので酸分泌の評価や機能診断に用いる。(酸分泌領域の診断)
  • 反応法(0.2~0.5%メチレンブルー)は腸上皮細胞により速やかに吸収されことから腸上皮化生の分布診断に用いられる。
  • 酢酸は胃癌やバレット食道癌の診断に用いる。癌部は早期に白色変化が消失する。
    ○ダイナミック・ケミカル法
    酢酸散布により円柱上皮は可逆的に白色化し立体的に観察できる。
    1.5%酢酸散布により癌部では早期に白色化が消失しコントラストが生ずる。
    酢酸・インジゴカルミン併用法(インジゴカルミン・サンドイッチ法)
    酢酸散布で白色化が消失した時点でインジゴカルミンを散布すると癌部にはインジゴカルミンは付着しないで非癌部には付着する。

(Acetic acid-Indigocarmine Mixture:AIM)
AIMの組成
1.5%酢酸 30mL, 蒸留水 30mL, インジゴカルミン原液 20mL を混和し総計 80mL として使用する

粘膜内癌と粘膜下層癌

胃癌は粘膜内に発生し粘膜下層へ浸潤する。粘膜内癌は転移することはまれであるが粘膜下層癌は15%前後の確率で転移する。

粘膜下層への浸潤の特徴

①粘膜内癌の表面構造
隆起型癌では急峻な立ち上がりを呈し、陥凹型癌は境界明瞭な陥凹を呈する。
②粘膜下層へ浸潤すると、粘膜筋板が破壊されるため胃小区模様は消失し、より不整となる。
1)SMT様に隆起し、立ち上がりはなだらかになり表面はより不整となる。
2)表層が脱落し陥凹形成し、陥凹内に一段深い陥凹を認めるようになる。
3)胃小区を形成するためには基盤となる粘膜筋板が必要となるが粘膜下層浸潤癌が露呈した部分には胃小区模様は見られなくなる。
4)粘膜内癌では襞の痩せや腫大が認められるが融合は認められない。
襞の融合は襞と襞の間の粘膜筋板を粘膜下層側から内腔へ押し上げることによって形成されるので襞の融合所見は粘膜下層浸潤癌と診断される。

未分化型癌の特徴
未分化型癌は、内視鏡的には主として単発で褪色調の境界明瞭な陥凹型病変として認められ褪色陥凹内に発赤顆粒を認める。これは病変径の小さい段階からびらん再生をきたしやすい。陥凹周辺に反応性隆起を伴わないことが多い。

粘膜内癌は陥凹底は平滑で凹凸不整はなく,しばしば陥凹底にはびらん再生に伴う小発赤顆粒を認める。粘膜下層深部浸潤をきたすと陥凹が深くなり陥凹底には凹凸不整が目立つか、粘膜下層の腫瘍の露出による強い発赤を呈するようになる。

未分化型癌は隆起型の形態を示せばほぼSM浸潤と考えてよい。しかし、大多数が陥凹型を示す。すなわち、
①陥凹部は凹凸変化に富み不揃い顆粒が目立つ
②陥凹境界は明瞭で中断像を呈する
③集中襞は中断像を呈することが多く、なだらかな隆起、台状隆起もしくは周堤様の辺縁隆起はSM隆起を考慮する。粘膜襞集中所見はSM2を示す。

襞集中は潰瘍瘢痕の合併、もしくはSM浸潤を表す指標である。
先端肥大や融合所見などはSM浸潤の重要な所見となる。
開放性潰瘍、または瘢痕の合併は直接SM浸潤の可能性を示唆し、病変径20mm以下で45%の病変を認め、そのうちの46%がSM浸潤をきたしている。

胃癌取り扱い規約ではSMへの浸潤が粘膜筋板下端から0.5mmのものをSM1、それ以深をSM2としている。
SM癌を確実に診断できる限界はSM浸潤が0.5mm以上で、0.5mmを境にリンパ節転移が効率になる。

O-I 病変の大きさを重要視している。
Ipの殆がM癌、Isでは2cmまではM癌で、5cm以上ではSM癌が圧倒的に多い。Ispでは2cm以上でSM癌が多くなる。
2~3cmで表面に崩れや陥凹があればSM、3cm以上の80%でSMとしている。
O-IIa では隆起表面の内視鏡所見を最も重要視しており、
O-IIaでは分化型が殆であり、表面平滑や陥凹を伴った場合はSM浸潤を疑う。  
表面平滑で腺腫様の顆粒状隆起の77%がM、表面不整粗造あるいは陥凹があればSMとしている。

SM浸潤の指標は、1000μm未満の場合陥凹が、1000μ以上では粗大顆粒や表面の粗大模様そしてSMT様隆起が・・・その指標となる。

胃癌の肉眼的分類

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未分化癌と未分化型癌(胃癌)

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未分化型癌は腫瘍径20mmで約半数がSM浸潤を、潰瘍を合併した40%強がSM浸潤をしている。未分化型癌は非癌の被蓋上皮を残しつつ癌腺管を形成せず粘膜内を側方に進展する傾向があるために、癌が全層に及んでいない病変はIIb類似、もしくは随伴IIbの形態をとることがある。

早期胃癌の内視鏡治療EMRのガイドライン

胃癌治療ガイドライン

[I]適応の原則
リンパ節転移の可能性がほとんどなく、腫瘍が一括切除できる大きさと部位にあること
具体的な適応条件

  • 2cm以下の肉眼的粘膜内癌(cM)と診断される病変
  • 分化型(pap,tub1,tub2)
  • 肉眼型は問わないが陥凹型ではUl(-)
    実際の臨床の場では胃癌治療ガイドラインの適応に即してEMRが施行されていることが多い。
    臨床研究以外の一般施設では原則は一括切除である。

[II]適応拡大(胃癌治療ガイドライン-研究段階)

  • 分化型Ul(-)M癌、大きさは問わず
  • 分化型Ul(+)M癌、3cm以下
  • 未分化型Ul(-)M癌、2cm以下
  • 脈管侵襲を伴わない3cm以下のsm1癌(sm浸潤距離500μ以下)の分化型Ul(-)に限る。
    一括切除による十分な評価可能な切除標本を得ることが重要でESDによる切除が要求される。

EMR後の切除標本の病理検索で粘膜下層への浸潤がある場合、脈管侵襲陰性で500μm未満の浸潤sm1であれば粘膜内癌に準じて経過観察し、脈管侵襲陽性または500μm以上の粘膜下層への浸潤があればリンパ節郭清を伴う胃切除を追加します。

[III]適応外病変
外科的手術が必要である。

[IV]遺残再発病変
粘膜内再発の形式をとり、線維化を伴っているので穿孔の危険が高くESDのほうが適している。

[V]インフォームド・コンセント
①病名の告知②適応③代償可能治療法④方法⑤偶発対処法⑥治療後の経過観察⑦セカンドオピニオン

早期胃癌内視鏡治療ESDガイドライン

胃癌治療ガイドラインによると内視鏡治療の適応は、分化型癌で潰瘍合併のない2cm以下の病変であるが、リンパ節転移の危険性が低いとされる「粘膜内癌で潰瘍の合併がない2cm以下の未分化型癌」に対しても臨床研究として適応拡大のESD治療が行われているのが現状である。
未分化型胃癌は内視鏡治療の適応ではないものの、リンパ節転移の可能性が低いとされる2cm以下で潰瘍のない粘膜内癌は適応拡大として内視鏡治療が行われているのが現状である。

絶対適応病変

  • cM,2cm以下、UL(-)の分化型癌

適応拡大病変

  • 2cmを超えるUl(-)の分化型、cM癌
  • 3cm 以下のUl(+)の分化型、cM癌

2cm以下のUl(-)の未分化型癌はリンパ節転移の可能性が2%強あり潰瘍瘢痕の判定基準が明確でなく臨床研究として明記すべきである。全身状態不良で手術適応以外にESDが施行されることがある。

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腫瘍・非腫瘍の鑑別

隆起性病変

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隆起

①上皮性(粘膜内上皮主体)か非上皮性(粘膜下主体)か鑑別
典型的なSMTではbridging foldや中心陥凹(delle)が認められるが
山田I型のように周囲粘膜と差のない平滑表面性状は粘膜下主体の増殖隆起(非上皮性)を、これに対して、周囲粘膜と明らかに異なる発赤調粘膜、凹凸変化、菊花状辺縁を示す境界明瞭な山田II~ IV型の基部形状を示す場合は粘膜内上皮主体の増殖隆起(上皮性)を考える。

②隆起の腫瘍・非腫瘍の鑑別
正常上皮とのかけ離れが顕著なものほど腫瘍、乏しいものほど非腫瘍とみなす。

隆起-非腫瘍
「胃底腺ポリープ」粘膜下腫瘍に類似した所見を呈するが背景粘膜と差が少なく2~3mmの米粒状隆起であり、「過形成性ポリープ」は再生上皮に類似し2cm以内のものから
茎を有するY-IVまで2cm以上のものまである。
胃底腺ポリープ(Y-III型で胃底腺模様あり)
胃底腺ポリープ
過形成性ポリープ(7mm大の発赤したY-II型ポリープで白苔付着)
過形成性ポリープ
隆起-腫瘍
「腺腫」は分化型癌よりもかけ離れ度が弱い腫瘍で良性悪性境界病変とみなされている。
血管透見性に乏しい褪色調で2cm以下の平盤状隆起形態を呈する。
胃腺腫(10mm大、表面平滑、褪色調平盤状隆起)
腺腫
「分化型癌」は再生上皮と明らかにかけ離れた所見を呈する。

丈の低い隆起では、O-IIa型癌と腺腫との鑑別が必要である。腺腫に比べて不規則な大小顆粒変化や発赤調を呈しやすい。
O-IIa型癌(背の低い径30mm粘膜面不整陥凹傾向、中心部の硬さ、厚み)
O-IIa型癌
丈の高い隆起はO-I型癌し過形成ポリープとの鑑別が必要である。一見して再生上皮との類似性に乏しい表面模様を呈し、くすんだ汚い発赤、濃淡差のある発赤など全体的に不規則性が目立ち、ごつごつとした大小の不整な結節状所見を呈する。
O-I型早期胃癌-分化型M癌(3.5cmのY-III型隆起、八頭状、表面不整、緊満感あり、粘膜模様小さく不揃い)
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未分化型癌は腺管形成能が弱くかけ離れ度が顕著で、分化型癌は腺管形成能を有している点で未分化型癌よりはかけ離れ度の弱い悪性腫瘍である。

隆起性病変の鑑別のポイント
①隆起が正常粘膜で覆われているかいないか②立ち上がりがなだらかか明瞭か・・・の2点から上皮性か非上皮性かを診断する。
上皮性と診断した場合は頻度的には良性である
①過形成性ポリープと胃底腺ポリープが圧倒的に多く②胃腺腫、胃癌(I型早期癌、IIa型早期癌、I型進行癌)の順である。
I型進行癌
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粘膜下腫瘍様隆起性病変を認めた場合、GIST(平滑筋腫、神経鞘腫などを含む)が最も多く、5cm以上では悪性、3cm以下なら経過をみてよい。しかし、粘膜下腫瘍様隆起性変化であっても非上皮性でなく上皮性腫瘍(胃癌、胃カルチノイド、IFP、悪性リンパ腫、転移性胃腫瘍、異所性胃腺)を考慮しなければならないこともある。
その注意点は、①2cm以下で中心陥凹を認める場合で通常のこの大きさでのSMTでは中心陥凹は形成しない。3cmを超えると出現することが多い②不整形のびらん様の浅い中心陥凹 ③隆起頂上の中心陥凹の辺縁までbridging foldがのひだが観察される場合・・である。

陥凹性病変

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陥凹-非腫瘍
a)びらん  b)潰瘍

陥凹-腫瘍

000000000000分化型癌         未分化型癌
陥凹色調   発赤調          褪色調
陥凹辺縁   辺縁隆起、棘状     直線的、鋸歯状
陥凹面    平滑          大小不動の再生顆粒
ひだ先端   なだらか肥大      やせ・中断

胃粘膜下腫瘍SMT

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脂肪腫(A)は第3層内(SM層)の高エコー腫瘤、境界明瞭、表面平滑
嚢胞(B)は第2(M層)から第3層内の境界明瞭な無エコー腫瘤、
迷入膵は第3層(SM層)から第4層(MP層)に首座をおき境界不明瞭な紡錘形腫瘤で低エコーであるが筋原性腫瘤よりややエコーレベルが高い。
間葉系腫瘍GIST(C)、筋原性腫瘍、神経原性腫瘍は主として第4層と連続した低エコー腫瘤である。平滑肉腫~GISTは基本的には低エコーであるが時として高エコーを混じえたり無エコー域を認めることがある。
壁外性圧排(D)は正常壁5層構造を保ったまま描出されることが多い。

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00000000SMTの形態を示す疾患


間葉系腫瘍 ; GIST、平滑筋腫、平滑肉腫、神経鞘腫
内分泌腫瘍 ; カルチノイド、小細胞癌
血管原性腫瘍 ; Kaposi肉腫、glomus腫瘍、血管腫、血管肉腫
その他 ; 迷入膵、脂肪腫、脂肪肉腫、転移性腫瘍、嚢胞性疾患、悪性リンパ腫
000000胃アニサキス、炎症性線維性ポリープ


胃嚢胞0000000000000000000000000胃脂肪腫
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胃迷入膵0000000000000000000000000000000胃平滑筋腫
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胃GIST(Y-I径3.5cm白苔伴う潰瘍)
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GISTのEUS像はA-type>B-type>C-typeの順であり、B-typeの多くは腫瘤内に出血巣がを認め、C-typeは全例に腫瘤内融解壊死の部分を認めた。
EUS像ではC-typeあるいは内部エコーが不均一な例に悪性度が高かった。
病変の大きさはC-typeが明らかに大きく、十二指腸GISTはA-type,大腸GISTはB-typeを呈した。

胃平滑筋腫(Y-I径2cm隆起)
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胃平滑筋肉腫(20mm大、起始部くびれ、不整形白苔陥凹)
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胃神経鞘腫(30mm大、立ち上がり明瞭、白苔を伴う潰瘍、肛側bridging fold)
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いろいろな鉗子

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回転式クリップ0000003点式クリップ00000000スネア0000000000000把持鉗子
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000局注針0000000000回収ネット00000000三脚型回収鉗子0000000バスケット鉗子
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スネア形状(楕円型、半月型)0000000000スネアのループ径(25mm,15mm,10mm)
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参考文献
中村恭一:「胃癌の構造 第3版」、医学書院、2005
中村恭一:病理学的にみた胃癌診断の考え方、胃と腸、28:161-170、1993
馬場保昌、吉田論史:組織特性からみた早期胃癌のX線診断、日本消化器がん検診学会誌、
46:166-176,2008
日本胃癌学会編:胃癌取扱規約第13版、金原出版、東京1999:26

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