膵炎の重症度

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急性膵炎の診断

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急性膵炎は胆石、アルコールなどの成因により、膵腺房細胞内で膵酵素が病的に活性化され自身の膵細胞が自己消化を起こす状態である。
①上腹部に急性腹痛と発作と圧痛がある。②血中または尿中に膵酵素の上昇がある。
③超音波検査、CTあるいはMRIで膵に急性膵炎を示す所見がある。
以上の2項目を満たし、他の膵疾患および急性腹症を除外したものを急性膵炎と診断する。
膵酵素は特異性の高い膵アミラーゼ、リパーゼを測定する。
血清アミラーゼが高知の場合はP型かS型かをアイソザイムで判断する。
腎機能が低下している場合は見かけ上の高アミラーゼを呈することがある。

急性膵炎の治療

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炎症に伴う循環血漿量の低下を補うため十分な初期輸液が必要で輸液を怠るとショックや腎不全となる。
重症例では8000ml程度の輸液が必要で尿量が確保されるまで行いカテコルアミンの投与も必要となる。
利尿が得られない時はCHDFを行い多臓器不全の防止に努める。
胆管結石のときにはERCPを行う。重症例においては早期から経腸栄養を行う。
発症早期には蛋白分解酵素や抗生剤の投与を行い炎症進展防止し微小血栓を抑制し膵壊死を抑制する。

急性循環不全(乏尿や血圧低下)にはカテコールアミンとウリナスタチンを投与する。
肺障害にはシベレスタットナトリウム、血小板、FFP、γグロブリンの投与が必要になってくる。

補液
002500~3000mlの輸液と電解質補正
00CT上の炎症の進展範囲が膵周囲前腎傍腔までは4000ml/day
00腎下極を超えれば8000ml/dayを目安とする。
00エルネオパ1000ml (ビタミンや微量元素は入っている)は胆道閉00塞疾患には使えない
000のでその場合はPNツインを使用する。
000①10%NaCL20~40ml ②ヒューマリンR ③アスパラK 
000④ 50%ブドウ糖 ⑤オーツカMV 1V(ネオラミンマルチV注射用)
000⑥微量元素製剤(エレメンミック注キット)またはミネラリンシリンジ1A
000⑦ ザンタック2Aまたはガスター1A

感染予防
スルペラゾン(SBT/CPZ)1回1g 1日2回、または、生食100ml+カルベニン0.5gを1日2~3回

循環不全
00血糖にあわせてインスリン投与
00蛋白分解酵素阻害薬
0000軽症例では常用量を、重症例でDICに準じた量を投与する
000000①FOY注 1回200mg 1日2回点滴静注
000000000重症例 最大量100mg/hour 24時間持続静注
000000②フサン注 1回20mg 1日2回点滴静注
000000000重症例 最大量10mg/hour 24時間持続静注
000000③ミラクリド注
00000000001回5万単位 1日2回 点滴静注
0000000000重症例 最大量30万単位/day 1回10万単位 1日2回

鎮痛薬
①ボルタレンサポ(25、50mg)1回25または50mg 1日1~3回頓用
②レペタン坐剤(0.4mg)1回0.4mg 1日1~3回頓用
③ソセゴン注(15mg)1回15mg1日1~3回頓用

制酸・胃粘膜保護
0000生食+ガスター20mg1Aを1日2回
0000NG tubeからマーロックス懸濁用1~2g/回を1日3~4回

脂肪制限 40g
00000回復後000フォイパン(100) 6T / 3x/ day

栄養管理; 経腸栄養は感染率が低い
0000①エレンタール1回80g 1日1~3回  
0000②タフマックE 1回10~20g 1日3回

重症膵炎の予知
000IL6   発症1~2日してからピークになる
000ホォスホォリパーゼA2  重症度に役立つ
000尿中TAP(trypsinogen activation peptide)
000PSTI (pancreatic secrtary trypsin inhibitor)
00000000000急性膵炎の重症度を反映
00000000000腎不全、重症外傷、重症感染などでも上がる
000CA19-9 、CEA、 DUPAN2、Elastase

00改訂2008年急性膵炎重症度判定基準

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  • [I]予後因子 各1点
    ①BE≦3、ショック(収縮期≦80)
    ②PaO2≦60(room air),呼吸不全(人工呼吸管理が必要)
    ③BUN≧40(Cr≧2) 乏尿(輸液後も尿量≦400)
    ④LDH≧正常上限の2倍
    ⑤Plt≦10万
    ⑥Ca≦7.5
    ⑦CRP≧15.0
    ⑧SIRS≧陽性項目3つ
    ⑨70歳以上(1点)
  • [II]予後因子
    00炎症の膵外進展度
    ①造影CT grade
    0000前腎傍腔000000000点
    0000結腸間膜根部00001点
    0000腎下極以遠0000002点
    ②膵の造影不良域
    00各区域(<1/3)に限局している場合または 膵の周囲のみの場合00000点
    2つの区域(1/3 ~ 1/2)にかかる場合001点
    2つの区域全体(1/2<)を占めるまたはそれ以上の場合002点
    ①②の合計スコア
      Grade1 1点以下
      Grade2  2点
      Grade3  3点以上

重症は 予後因子[I][II]から
   3点以上または造影CT grade 2以上をいう
   原則48時間以内に判定する。
       浮腫性膵炎は造影不良域≦1/3に入れる。
   3点以上は死亡率19%となる。

                 前腎傍腔 結腸間膜根部 腎下極以遠
一区域以下 (<1/3)       0        1         2
二区域にかかる(1/3 ~ 1/2)   1        2         3
2区域以上(1/2<)        2        3         4
000
000
000
00 1990年急性膵炎重症度判定基準
予後因子① 各因子2点
   ショック、呼吸不全、神経症状、重症感染症、出血症状、Ht<30%
   BE≦3 ,BUN≧40(Cr≧2)
予後因子② 各因子1点
   Ca≦7.5 ,FBS≧200,PaO2≦60,LDH≧700, TP≦6.0,PT≧15秒
   Plt≦10万, CT-grade IV/V
予後因子③
   SIRS≧3 (2点)  70歳以上(1点)

軽症 ①②項目陰性
中症 ①を認めず②が1項目陽性
重症 ①が1項目陽性か②が2項目以上陽性

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慢性膵炎の治療方針

慢性膵炎は膵炎発作を繰り返しながら持続的に膵障害が進行し、膵実質細胞の脱落・破壊・線維化を来し膵管の拡張や膵管内に結石や蛋白栓を伴う非可逆性の病態である。

代償期の治療は
経口蛋白分解酵素阻害剤のフォイパンを主に用いる。
膵のキーエンザイムであるトリプシン活性を阻害することで炎症を軽減、増悪と進展を防止する。1日6錠から開始し4~8週間投与し安定改善が見られたら3錠に減量する。
また膵外分泌機能の低下を補填し膵の安静を図る目的で消化酵素の投与が必要である。
過度の胃酸分泌を抑制するためにPPIが有効である。
非代償期には消化吸収障害、特に脂肪の喪失、そして糖尿病が顕在化してくる。
脂肪の摂取制限を緩和し1日50g以上とする。アルカリ性である膵分泌低下するためリパーゼなどの消化酵素活性が低下してくるためH2やPPIが必要になる。

慢性膵炎の臨床診断基準2009

0000慢性膵炎の診断項目
    ①特徴的な画像所見  ②特徴的な組織所見  ③反復する上腹部痛発作
    ④血中または尿中膵酵素の異常  ⑤膵外分泌障害
00000⑥1日80g以上の持続する飲酒歴

000早期慢性膵炎の画像所見(a)、(b)のいずれかが認められる)
0 (a) 超音波検査で以下の①~④のいずれかを含む2項目が認められる  
00膵実質所見 ①点状高エコー ②索状高エコー ③辺縁不規則な凹凸
0000000000000④分葉状エコー⑤嚢胞 ⑥萎縮 ⑦不均一エコー
00膵管所見 ⑧膵管拡張 ⑨分枝膵管拡張 ⑩膵管不整 
00000000000⑪膵管辺縁高エコー

00(b) ERCP像で3本以上の分枝膵管に不規則な拡張が見られる

早期慢性膵炎の診断
0000診断項目①~⑥のいずれか2項目以上と早期慢性膵炎の画像所見が認められる。
0000慢性膵炎確診(aまたはbのいずれかが認められる)
     a) 診断項目①または②の確診所見
     b) 診断項目 ①または②の準確診所見と③④⑤のうち2項目以上
慢性膵炎準確診
  診断項目①または②の準確診所見が認められる

慢性膵炎

膵臓は100g程度の後腹膜臓器で、1日約1500mlの膵液を分泌する。
慢性膵炎は膵実質の線維化を来す疾患で成因は飲酒が最多である。
背部痛は膵臓痛の特徴の一つで初発症状としては急性膵炎において15~20%、慢性膵炎で40~50%で見られる。
膵癌では進行例で認められることが多い。

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慢性膵炎は非可逆性の進行性慢性炎症性疾患でもその進展に伴って膵外分泌障害(消化吸収障害)や耐糖能異常(膵性糖尿病)が出現してくる。
代償期では反復する再燃と疼痛予防が主体である。非代償期は消化吸収障害と膵性糖尿病のコントロールが重要であり、低栄養を避けるため適切量の脂肪摂取をさせた上で十分量の消化酵素薬を投与する。
慢性膵炎でアルコール性は発症から確診に至るまでの平均期間が短く、腹痛、膵管像、膵外分泌不全および糖尿病への進展が早く、通常は20年以上に及ぶが10年と早い。
経年的に進行し膵機能細胞の減少と線維化の進行により膵の萎縮や膵石が生じ、膵外分泌とともに膵内分泌機能も徐々に低下し、ついには機能不全を示す非代償期に陥り、体重減少、脂肪便の顕性化とともに膵性糖尿病状態となり(消化酵素薬は必須で有効gradeA)、しかも、各種栄養素摂取しても吸収されず膵性吸収不良症候群に至る。
膵外分泌機能は脂肪便の有無とBT-PABA試験(PFD試験)で判定する。

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膵予備能は非常に大きくリパーゼ分泌能が約90%低下してはじめて脂肪便が顕在化する。膵液中重炭酸塩分泌は膵酵素分泌障害よりも早期に障害される。
脂肪便を認める時期では重炭酸塩分泌不全を伴った腸管内膵酵素活性は量的、質的に絶対的不足の状態にある。

代償期
膵機能が比較的保たれているので移行期および非代償期への進展を阻止することが課題である。原因の除去が第一で、禁酒、胆石の除去を行う。
食事療法は脂肪制限が大事で、30g/day以下、1回10g以下の脂肪摂取制限が基本となる。
生命維持に必要な必須脂肪酸や脂溶性ビタミン(A,D,E,K)の欠乏を防ぐために少量の植物性オイルや脂身の少ない魚類からの良質な必須脂肪酸摂取を心がける(grade C1)。
炭酸飲料、香辛料、カフェインなどは胃を刺激するので避けるよう指導する。
1) カモスタットメシル酸塩(カモスタット)600mg/dayから開始し膵酵素の改善が認められたら半量に減量して継続投与する。
カモスタットは膵炎のkey enzymeであるトリプシン活性阻害作用を有し、トリプシン活性に引き続く膵内酵素活性化を抑制することで膵炎の増悪と進展を阻止する。
2) H2blocker,PPIで過度の胃酸を抑制し十二指腸からセクレチン、コレシストキニン
の遊離を抑える。
3) 抗コリン剤は迷走神経を介する膵外分泌刺激を抑制するので腹痛に用いる。
非代償期
膵外分泌障害、内分泌障害が前面に出るため低栄養状態が徐々に進行する。
膵炎症状は軽減、消失していることが多いため脂肪量50~70g/dayを摂取させた後に
脂肪便の判定を行い十分量の消化酵素を通常の3~10倍量投与する(パンクレリパーゼ)。
膵液をアルカリ性に保持している重炭酸分泌が著明に減少するため、H2blockerや
PPIなどの制酸薬の併用が必要となる。
膵性糖尿病はβ細胞減少に起因するためインスリン治療が基本となる。
インスリン治療は十分量の膵消化酵素薬を投与した上でインスリン量を決定する。
飲酒継続者は低血糖が誘発されやすい。

自己免疫性膵炎

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自己免疫性膵炎はIgG4関連疾患としての膵病変の可能性が高い。
膵腫大や膵腫瘤を停止しばしば閉塞性黄疸を認め酔眼や胆管癌などとの鑑別が必要である。
高γグロブリン血症、高IgG血症、高IgG4血症、あめいは自己抗体陽性を高頻度に認め
しばしば硬化性胆管炎、硬化性唾液腺炎、後腹膜線維症などの膵外病変を合併する。
国際的には
1型(type1 AIP): LPSP(lymphplasmacytic sclerosing pancreatitis)に相当し大部分を占める
2型(type2 AIP):IDCP(idiopathic duct-centric chronic pancreatitis)に相当
に分類される。
1)ステロイド治療適応
ステロイドはAIPの標準治療とされ、自己免疫性膵炎患者のうち、胆管狭窄による閉塞性黄疸例、腹痛・背部痛を有する例、膵外病変合併例などがステロイドの適応となる。
2)ステロイドの初期治療
黄疸例では胆道ドレナージを考慮しDM合併例では血糖のコントロールをまず行った後、ステロイド寛解導入治療としては経口プレドニソロンを0.6mg/kg/dayから投与を開始し2~4週間の継続投与後漸減する。
3)ステロイドの減量法
経口プレドニソロンの初期投与量を2~4週間毎に血液生化学検査、血清γグロブリン・IgG・IgG4値、画像(US,CT,MRCP,ERCPなど)、臨床症状などを考慮しつつ5mgずつ
減量し2~3カ月を目安に維持量まで漸減する。
4)ステロイドの維持療法とその期間
ステロイドの維持療法は自己免疫性膵炎の再燃の抑制に有効で経口プレドニソロンを
少なくとも5mg/dayで維持する。
個々の例で活動性を見極めステロイド治療を中止する。
完全な改善が得られた例ではステロイド治療の期間として3年が一つの目安である。
5)再燃時における治療法
再燃時には画像検査による膵腫大、血清IgG/IgG4値の上昇、血中胆道系酵素の上昇、
血中膵酵素の上昇、膵外病変の再燃、可溶性IL-2レセプターの上昇、補体の消費、
免疫複合体の上昇が見られる。
ステロイド剤の再投与あるいは増量を行う。
多くの例では初回治療開始時とおなじステロイド投与量(経口プレドニソロン0.6mg/kg/day)で寛解がえられるが漸減のスピードを初回治療時より遅くする。
再燃例でステロイドの漸減スピードを遅くしたものの、約40%で再々然をしたとの
報告もあり、再々然でステロイド治療難渋例には2.0~2.5mg/dayのアザチオプリンなどを免疫抑制剤の有効性も報告されている。

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