血管炎

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血管炎を考える時

神経症状のパターンについては筋原性の場合は近位筋優位であり、多発神経炎であれば遠位優位でglove-socks型の分布を取るが解剖学的に説明のつかない多発性炎症を認めた場合は血管炎を疑う。

難治性血管炎

大型血管炎大動脈とその主要分枝○高安動脈炎Takayasu’ s arteritis、
○側頭動脈炎Giant cell arteritis
中型血管炎内臓臓器に向かう主要動脈とその分枝○バージャー病、
○結節性多発動脈炎Polyarteritis nodosa、
○川崎病Kawasaki’s disease
小型血管炎細動脈・毛細血管・細静脈ANCA関連血管炎
○顕微鏡的多発血管炎(MPA)、
○多発血管炎性肉芽腫症(GPA/WG)、
○チャーグ・ストラウス症候群(CSS)/AGA、
免疫複合体性血管炎
○ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、
○本態性クリオグロブリン血症、
○悪性関節リウマチ

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PANは中型血管炎を中心とした壊死性血管炎でありANCAは通常陰性で特発性のものとB型肝炎ウイルス感染に関連したものに大別されます。
結節性多発動脈炎(古典的多発動脈炎)はANCA陰性であることが多くANCA関連腎炎には
含めない。

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顕微鏡的多発血管炎(MPA)
MPAは急性進行性糸球体腎炎と肺胞出血を伴う間質性肺炎の2臓器症状が主である。
MPAでは、MPO/PR3-ANCA陽性で半月体形成が見られ、IgGやIgAの沈着がなく、壊死性肉芽腫性変化を認めない。
高度の肺出血が合併した場合は予後不良で1年生存率は70~85%と報告される。
ANCA関連腎炎の発症頻度が最も多いのはMPAで、MPAの感染症対策については、基本的にST合剤を併用しながら免疫抑制療法を施行します。
特に血管炎がある程度抑えられた後に発熱し、CRPが陽性化する場合には感染症の
疑いが強くなりますし、白血球数4,000/µL以下、免疫グロブリンの低下などは感染症のリスクになります。ANCA陰性でも再燃の可能性は否定できません。MPAによる
ステロイド抵抗性神経障害に対するIVIG治療の有効性があります。
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チャーグ・ストラウス症候群(CSS)/AGA
ANCA関連血管炎のMPA、GPA/WG、CSS/AGAの3疾患は、いずれも肺病変をきたしやすいという共通性が
あります。
CSSの病状は気管支喘息の悪化に連動して悪くなり、喘息発症からCSSの発症すなわち血管炎発症までの期間は
2~5年が一般的です。
血管炎発症時には、多発性単神経炎症状(四肢末梢のしびれと筋力低下)をきたし、
血管炎発症時には末梢血好酸球が30~50%著明に増加、血漿BNP増加、血清IgE増加、白血球増加や血小板増加が
見られます。
CSSでのANCA陽性率が50%以下(30~40%)で多くは神経障害で歩行困難に陥いります。
自覚症状がなくても積極的に心病変を評価するために、心筋シンチグラムまで行うと、CSS における心機能障害の合併率は80~90%にのぼるといわれています。
CSSに対するIVIG療法の最大のメリットは、心機能障害に対する改善があり、ステロイド治療抵抗性の神経障害に対して、IVIG療法(γグロブリン大量静注療法)は非常に有効ですが、重度の心不全例ではさらに少量の利尿剤を併用します。
ANCA関連血管炎は、腎臓と肺に病変が起こります。
腎臓では腎機能が急速に悪化する急速進行性腎炎を来し透析になる危険があり、
肺の場合は肺胞出血を起こします。
検尿によって血尿や蛋白尿の有無をみたり、血清クレアチニン値を計測し、確定診断においては、腎生検を行います。
免疫抑制療法による合併症として感染症が最も多く発症しますので、
血中のサイトメガロウイルス抗原やβ-D-グルカンの定期的な測定が必要です。
CSSやMPAでは末梢神経障害が概ね7~8割といわれています。末梢神経障害の臨床症状には、運動機能障害(筋力低下など)と感覚障害(しびれ・痛みなど)の2つがあります。左右非対称性に手足などに障害がみられる多発性単神経炎が特徴です。
腓腹神経を採取して病理所見を観察します。血管炎や神経線維の軸索変性などの病理的な所見が確認できれば、確定的な診断となります
ANCA関連血管炎では、急性期にはまず副腎皮質ステロイドの投与、次いで免疫抑制剤の投与が標準的な治療法として確立していますが免疫抑制剤を加えたほうが、治療成績が良く、さらに、γグロブリン大量静注療法(IVIG療法)を行うと、症状の改善がみられることが往々にしてあります。

[臨床的特徴]
発熱、体重減少、気管支喘息、消化器症状 (腰痛、嘔吐、下血)、皮膚症状 (紫斑、皮下出血、有痛性の皮疹)、心症状 (心筋炎、心外膜炎、心筋梗塞)、呼吸器症状、腎臓症状、神経症状(多発性単神経炎、知覚運動神経障害)、中枢神経症状 (脳硬塞、脳出血)
[関連自己抗体]
MPO-ANCA  AGAの約70%に出現。MPO-ANCA陽性AGAは陰性AGAに比べて、発症年齢が有意に高く、重篤な腎障害や肺出血の合併頻度が有意に高いという報告がある*。

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多発血管炎性肉芽腫症(GPA/WG)
多発血管炎性肉芽腫症(GPA/WG)は
①鼻、耳、眼、上気道(E)および肺(L)の壊死性肉芽腫性血管炎
②腎(K)の巣状分節性壊死性糸球体腎炎、
③全身の中・小型動脈の壊死性血管炎の3つで特徴づけられる全身性血管炎症候群である。病理形態学的な特徴として、肉芽腫症と呼ばれるように、上気道・肺・全身の血管の壊死性肉芽腫性病変を認める。発症機序にC-ANCA(PR3-ANCA)が関与するといわれている(陽性率は60%程度)。元来、ウェゲナー肉芽腫症と呼ばれていたが、2011年4月に多発血管炎性肉芽腫症 granulomatosis with polyangiitis:GPAと呼称変更が提案された。

臨床症状
初発症状は上気道(E)の症状の出現が約90%と多く、鼻出血、膿性鼻汁、中耳炎などを示す。次に、肺症状(L)は約80%に認め、咳嗽、血痰、胸痛、呼吸困難などを示す。全経過を通じて70~80%で腎炎(pauci-immune型巣状壊死性半月体形成性腎炎)(K)を示す。

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プラケアの咄嗟の検査項目
IgA,IgG,IgM,抗核抗体、MPO-ANCA,PR3-ANCA,抗GBM抗体、PA-IgG,抗血小板抗体、ADAMST, KL-6, SP-D, PT, PT-INR, APTT、FDP, へパプラスチンテスト、IgG/C3

関連検査項目
銅・鉄・VitB1・亜鉛、抗核抗体、抗Jo-1抗体、リウマチ因子、PR3-ANCA、MPO-ANCA,抗ss-DNAIgG, ,抗ds-DNAIgG,抗Sm抗体、抗RNP抗体、抗SSA抗体、抗CL-βGP1抗体、LAC(DRVVT)、直接Coombs、間接Coombs、PA-IgG、抗TPO抗体、抗Tg抗体、FT3, FT4
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ANCA

抗好中球細胞質抗体(ANCA)は、IgG型の自己抗体である。全身性の血管炎が疑われる症例、すなわち、発熱、体重減少、多発性単神経炎、蛋白尿や血尿などを呈する場合、また、糸球体腎炎では、
上記の可能性があり、検査する必要がある。
好中球の塗抹スライドを用いた間接蛍光抗体法により検出される自己抗体である。

IgG型自己抗体
間接蛍光抗体法   ANCA対応抗原0000000000関連疾患
C-ANCA       PR300000000000000ウェゲナー肉芽種症(WG)
(細胞が均一に染色)
0000000000000000000000000000000000「ANCA関連血管炎
P-ANCA       MPO00000000000000半月体形成性腎炎
(核の周辺のみ線状に染色)0          顕微鏡的血管炎(MPA)
000000000000000000000000000000アレルギー性肉芽種性血管炎(CSS)(AGA)

MPO-ANCAが好中球の中のMPOを活性化する

P-ANCAの対応抗原は主としてミエロペルオキシダーゼ(MPO)であることから、別名MPO-ANCAとも呼ばれる。『MPO-ANCA関連血管炎』は、MPO-ANCAが、白血球の一種である『好中球』の中の『MPO(ミエロペルオキシダーゼ)』を活性化し、活性酸素や蛋白分解酵素を放出させることで毛細血管を溶かしたり詰まらせたりするため、血管が『壊死』します。
 
P-ANCAが陽性の場合は、急速に腎炎から腎不全へと進行するため、早期に免疫抑制療法などの処置を検討すべきである。鑑別には、好酸球やIgEの定量やC-ANCA検索、病理組織診が必要である。
P-ANCAの陽性率は、半月体形成腎炎で80%以上、アレルギー性肉芽腫性腎炎で30~60%といわれる。
健常者でも陽性となる場合があるため診断には検尿はじめ他の検査所見をも考慮する必要がある。

ANCA関連血管炎

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抗好中球細胞質抗体(ANCA)は主として好中球細胞質のアズノール顆粒中の抗原を認識する自己抗体である。染色パターンからC-ANCAとP-ANCAとに分類される。
血管炎で重要な抗原はプロティナーゼ3(PR3)とミエロペルオキシダーゼ(MPO)であり、対応する抗体はPR3にはPR3-ANCAとMPOにはMPO-ANCAと呼ばれる。
ANCA関連血管炎とは以下の3疾患である。
多くの症例は発症後6カ月以内に死亡し4大死因は、呼吸不全、腎不全、心不全、消化管出血である。

①MPA(microscopic polyarthritis)顕微鏡的多発血管炎
小・細動脈、細静脈に壊死性血管炎を認め、ANCA関連血管炎の中で最も頻度が高い。
②WG(Wegener`s granulomatosis)ウェゲナー肉芽腫症
全身の壊死性肉芽腫性血管炎、肺の壊死性肉芽腫、腎の壊死性半月体形成性腎炎の3徴を認める血管炎である。
③AGA(allergic grnulomatous angiitis)アレルギー性肉芽腫性血管炎
チャーグとストラウスにより提唱された血管炎症候群である。
気管支喘息5000例に1人に発症する。アルレギー性鼻炎や気管支喘息と末梢血好酸球増多が先行し、その後血管炎症候群を発症する。

ANCAが好中球を活性化して血管炎が発症する。

ANCA関連血管炎では病変局所に免疫グロブリンや補体の沈着が見られない(puci-immune)ためシェーンラインヘノッホ紫斑病や本態性クリオグロブリン血症などの免疫複合体による血管炎とは区別される。
サイトカインなどで活性化された好中球では細胞質内の種々の蛋白質が細胞表面に移動して対応抗原に結合すると好中球の活性酸素の放出や脱顆粒が促進される。
脱顆粒により好中球から放出されたMPOやPR3などの顆粒内蛋白質が
ANCAと結合し好中球を活性化させ、また、MPOやPR3は内皮細胞にも結合し白血球遊走化が増強される。
さらに、stageが進むと好中球から蛋白分解酵素や細胞障害因子が
放出され内皮細胞は壊死に陥り炎症性細胞浸潤とともに血管壁の損傷へと向かう。
腎臓と肺が好発臓器であり、壊死性半月体形成性糸球体腎炎や尿細管毛細管炎が起こる。肺では間質性肺炎や肺胞出血を来す。
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参考
肺腎症候群は、肺胞や腎糸球体の基底膜に対して共通抗原によってIgGや補体IgG/C3
などが線状に沈着する。MPO-ANCAや抗GBM抗体が陽性となる。死亡率は45~50%である。

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(A)「リウマチ性多発筋痛症 (polymyalgia rheumatica : PMR)

○ 特徴・症状
一般に50歳以上,特に60歳以上の高齢女性に好発する原因不明の炎症性疾患で,頸部,肩,大腿などに2週間以上続く体幹近位筋の筋肉の疼痛とこわばりが特徴で,ある朝急に痛み始めるといったエピソードなど突発的な発症が多くみられます。
痛みはふつう片側の肩の筋肉から痛み始め、数日または数週間のうちに両肩の筋肉が痛むようになる。
次いで痛みは他の近位の筋肉群におよび、1ヵ月以上続き、痛みの性状は「朝、カミソリで筋肉が削り取られるように痛む」,「寝返りを打つことも、起き上がることもできない」,「起き上がろうとすると、両側の大腿の後部が絞るように痛む」,「排便・排尿が至難である」などの強い訴えもあります。
発熱,全身倦怠感,体重減少などの全身症状や軽度の関節炎を伴うこともあります。
この病気には15-20%に側頭動脈炎と呼ばれる血管障害の合併が多く、両方のこめかみを通るこの動脈が腫れて痛んだり、頑固な頭痛や視力障害に悩まされたといった症状が見られます。
この「側頭動脈炎」と「リウマチ性多発筋痛症」は密接に関連していると考えられています。
○ 診断
特異的な検査所見には乏しいのですが,線維筋痛症と違って赤沈値亢進,血清CRP高値などの炎症反応と,軽度の貧血および白血球数と血小板数の増加がみられます。
一方、顕著な筋症状にもかかわらず血清CPKなどの筋原性酵素は増加せず、リウマチ因子や膠原病などで見られる抗核抗体は通常陰性です。(抗CCP抗体も陰性)

リウマチ性多発筋痛症(PMR)の診断基準


 1. 両側の肩に痛みとこわばりがある。
 2. 発病から2週間以内に症状が完成する。
 3. 朝のこわばり(頚部、肩甲帯、腰帯)が1時間以上続く。
 4. 赤沈が40・/時以上に促進する。
 5. 65歳以上に発病する。
 6. うつ状態ないしは体重減少がある。


PMRを疑う基準:
・.上述の項目のうち、3項目を充たす場合.
・.上述の項目のうち1項目以上を充たし、また臨床的、
病理組織学的に側頭動脈に異常が認められる場合.
○ 治療
リウマチ性多発筋痛症では、ステロイド剤が特効薬です。
側頭動脈炎などの合併がない場合、比較的少量で劇的な効果がみられることもあります。
むしろ、この疾患が疑われたときには治療的診断法が有用で、少量のステロイド剤によって筋肉の痛みとこわばりが改善すれば、疑いが濃厚になります。
ふつうステロイド剤服用後12時間で効果があるが、1週間続けて効果がなければ、別の病気を考えるべきであると言われています。

(B)「側頭動脈炎(Temporal Arteriris)(巨細胞性動脈炎(Giant Cell Arteriris))

主に60歳以上の高齢者に発症する頸動脈とその分枝の動脈、特に側頭動脈の炎症を主徴とする原因不明の血管炎です。
頭の側面に存在する側頭動脈が、血管炎により、痛みを伴い、肥厚、発赤することから側頭動脈炎と呼ばれるようになりました。
動脈の生検による組織学的検査では巨細胞を含む肉芽腫が認められるため、巨細胞性動脈炎(Giant cell arteritis)とも呼ばれます。
リウマチ性多発筋痛症(polymyalgia rheumatica)の症状が約30%の患者さんに認められ、両者はきわめて近似した疾患と考えられています。
男女比はほぼ1:1.7でやや女性が多く、発症年齢は平均71.5歳です。
男女ともに60歳後半から70歳代にピークがあります。
初発症状としては、側頭動脈痛、限局性の頭痛、頭皮部の疼痛、側頭動脈の拍動性の頭痛などが約70%の患者さんに認められます。
頭痛は、拍動性で、片側性で、夜間に悪化しやすいことが知られています。
有痛性または肥厚性の側頭動脈を触れます。発熱、体重減少などの全身症状は約40%の患者さんに認めます。
眼症状(視力・視野障害、虚血性視神経炎など)は約34%の患者さんに認め、筋肉痛と関節痛はそれぞれ20%、13%ぐらいの患者さんに認められます。
大動脈にも障害がおこることがあり、このため、間欠性跛行、解離性大動脈瘤などをみることがあります。
このほか、うつ病、不安感、記銘力低下、器質的脳症状(脳梗塞など)、聴力障害などをみることがあります。
眼底検査では、視神経乳頭の虚血性変化、網膜の綿花様白斑、小出血なとが認められます。
頸動脈の血管造影で動脈の狭窄・閉塞が認められます。側頭動脈の生検により巨細胞性動脈炎を認めますが、病変は必ずしも連続性ではないために、2-3cmの動脈の生検が必要であることが知られています。
早期に発見し、ステロイド療法を行います。これにより、視力障害までの進行が予防できます。
プレドニゾロン1日30~40mgより内服治療を開始します。失明のおそれがある場合にはステロイド大量による治療が必要です。
予後は良好です。治癒・軽快が87.9%の患者さんに認められます。

血管炎の場合は、たいてい発熱を伴います。側頭動脈から分枝する血管に、顎関節に至る動脈に炎症が起こり、狭窄による虚血症状として「顎跛行 ( jaw claudication) 」を伴いやすくアゴの筋肉を動かすと虚血性の痛みが生じます。
主要症状
1 頭痛
2 視力障害
3 側頭動脈の発赤腫脹、疼痛、索状肥厚、拍動の減少など。
組織所見
血管炎(巨細胞性動脈炎)の組織所見が見られる。
判定
主要症状の少なくとも一つと組織所見があれば確定的、主要症状の第3項目を含む二項目以上の所見があれば疑いとする。

急性進行性腎炎症候群

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急速進行性糸球体腎炎(rapidly progressive glomerulonephritis=RPGN)はWHOにより、『急性あるいは潜在性に発症する肉眼的血尿、蛋白尿、貧血、急速に進行する腎不全症候群』と定義される。肉眼的血尿を高頻度に伴い、病初期には、しばしば無尿あるいは乏尿を呈する。全身症状として、発熱、倦怠感、関節痛、筋肉痛などが出現する。
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RPGNは病理学的には多数の糸球体に細胞性から線維細胞性の半月体の形成を認める半月体形成性壊死性糸球体腎炎(necrotizing crescentic glomerulonephritis)が典型像である。しかし、半月体形成性壊死性糸球体腎炎以外にもRPGNの臨床経過をたどる疾患もあり、定義を満たす、腎炎様の尿所見を伴い、急速な腎機能の悪化により放置すれば末期腎不全まで進行する疾患は臨床的にRPGN症候群として取り扱われ、。急速進行性糸球体腎炎も
糸球体の病気でおこる臨床症候群のなかの1つである。

RPGNの原因は多岐におよび、感染症、悪性腫瘍、薬剤によるものも存在する。


①数週から数ヶ月の経過で急速に腎不全が進行する。
②血尿(多くは顕微鏡的血尿、肉眼的血尿も見られる)、蛋白尿、赤血球円柱、顆粒円柱などの腎炎性尿所見を認める。以上の二項目を満たす症例を臨床的にRPGNと定義する。


マクロファージは、抗原を取り込むことにより体液中にサイトカインを放出する。
このマクロファージから放出されたサイトカインは好中球を刺激し好中球内部から好中球
表面にMPO(myeloperoxidase )やPR3(proteinase-3)などが移動し好中球表面に現れる。
このMPOやPR3などに抗体であるANCAが結合すると好中球が活性化され、好中球・単球の脱顆粒や活性酸素の放出を来たし、血管内皮を傷害するようになる。糸球体内皮がこのような機序で傷害され糸球体基底膜の破綻から半月体形成をきたすと考えられている。MPO-ANCAは好中球細胞質の α 顆粒に存在するMPO(myeloperoxidase の略)に対する抗体である。
MPO-ANCA 値は腎外病変を反映する可能性がある。

腎組織の免疫学的分類として
①pauci-immune型
②抗糸球体基底膜(glomerular besement membrane:GBM)抗体型
③免疫複合体
の3型に分けられる。
病型血清診断には、
(1) p-ANCA :抗原物質が主としてmyeloperoxidase(MPO)で、好中球の核周辺部に結合して
peripheral patternを示す。 MPO-ANCAともいい、原発性半月体形成性糸球体腎炎あるいは顕微鏡型多発動脈炎と関連がある。
(2)c-ANCA:抗原物質がproteinase3(PR3)で、細胞質にびまん性に結合してcytoplasmic patternを示すため、PR3-ANCAとも言い、Wegener肉芽腫症と関連が深い。
(3)抗糸球体基底膜抗体
などの血清マーカーの測定が有用である。

  • pauci-immune型では、好中球の細胞質に対して作られる抗体で好中球が活性化され糸球体の毛細血管を攻撃する。
    糸球体への免疫グロブリン沈着が証明されない。この型の80%以上では、特にP-ANCA(MPO-ANCA)が検出される。c-ANCA(抗PR-3ANCA)陽性で、上気道や肺に肉芽腫性病変が認められる場合はWegener肉芽腫症と診断される。
    Wegener 肉芽腫では鼻腔粘膜に始まる上気道と肺の肉芽腫性炎症,糸球体腎炎及び壊死性血管炎が三大基本特徴である 。
  • 抗GBM抗体型では、GBMに沿ったIgGの線状の沈着が観察される。腎炎に加えて肺出血を伴う場合は、グッドパスチャー(Goodpasture)症候群に分類される。
    抗GBM抗体型RPGNでは、生命予後の腎予後は未だきわめて不良である。
    肺病変を伴う症例では血漿交換療法が有効である。
  • 免疫複合体型では、感染などに対する免疫反応で免疫複合体が糸球体に沈着し半月体を形成してしまう。
    GBMやメサンギウム領域に免疫グロブリンや補体の顆粒状沈着がみられ、抗DNA抗体陽性、血清低補体値があればループス腎炎、リウマチ因子陽性、血清高補体値があればリウマトイド血管炎、クリオグロブリン血症陽性であればクリオグロブリン血管炎、IgA高値であればHenöch-Schönlein紫斑病、IgA腎症がそれぞれ鑑別される。
     初診時の検査所見は血清クレアチニンの増加、尿蛋白、赤沈、CRPの上昇、ヘモグロビン濃度の低下がある。血清免疫検査としてC(PR-3)、P(MPO)-ANCA、抗GBM抗体が有用である。腎エコーによる腎のサイズは正常である。

RPGNの予後改善には腎機能悪化が軽度な早期に発見し、速やかに治療を開始することが重要である。治療開始には病型診断と重症度の判定のために組織学的検討が必須であり、重症度や各種合併症を考慮した治療を行う。
通常、メチルプレドニゾロンパルス療法を含めた副腎皮質ステロイド薬や免疫抑制薬、抗血小板薬や抗凝固薬、血漿交換療法などを併用した治療が行われる。
腎不全が進行した場合は、早めに透析療法を開始する。
本疾患の治療方法としては、ANCA陽性RPGN、抗GBM抗体型RPGNなどでは副腎皮質ホルモン製剤と免疫抑制薬、抗血小板薬、抗凝固薬による多剤併用療法が基本となる。薬物療法に加え、症例に応じ体外血液浄化療法などが行われることがある。
現時点において、RPGNに対する血漿交換療法については、ANCAの早期除去による腎機能悪化の抑制や多臓器病変の発症予防、進行抑制への効果が期待できるとも考えられる。

治療指針
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1)初期治療指針

年齢は暦年齢でなく、実年齢に従うべきで、ここの患者の一般状態、日常活動性などを考慮し、治療のランクを調節する。
・MPO-ANCA型で臨床重症度ⅢまたはⅣの高齢者では、さらに1ランク下げた治療法を行ったほうが生命予後良好な場合がある。
・PR3-ANCA型RPGNではシクロフォスファミドと副腎皮質ステロイド薬の併用療法が治療法として確立している。
・初期治療で疾患のコントロールがついた場合には、8週間以内に経口プロドニゾロン換算量で20mg未満に減量し、維持治療に移行する。
・MPO-ANCA型、PR3―ANCA型RPGNの血漿交換療法については、高度腎機能障害を伴い、腎生検での半月体の90%以上が細胞性半月体であるなど、急速な腎機能障害が明らかなときに施行すると腎機能回復の可能性が高まるとのヨーロッパの報告があるが、我が国の症例では効果を確認できていない。一般に、肺出血を伴うときには考慮する。
血液中に抗糸球体基底膜抗体あるいは免疫複合体が検出された場合は、これら抗体などを除くために血漿交換療法が必要になります。

2)免疫抑制薬治療中の注意点
・免疫抑制療法開始後2~4週後には、日和見感染予防にTrimethoprim/ sulfamethoxazole (ST)合剤の投与を行う。
・抗真菌薬の予防的投与を行う。
・一部の免疫抑制薬は、発ガンリスクを上げるので、使用は最小限とし、中止後も適宜、ガン合併がないかチェックする。
・結核のスクリーニング検査を行う。
・骨粗鬆症に対する予防を行う。

1)山縣邦弘:我が国のRPGNの現状.急速進行性糸球体腎炎の診療指針,2007年における改訂,印刷中,日本腎臓学会誌,2008.
2)山縣邦弘:急速進行性糸球体腎炎.腎と透析 61:105-112,2006.
3)吉田雅治:ANCA関連腎症.腎・泌尿器疾患診療マニュアル(五十嵐 隆編),S190-191,2007.

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