高Na血症

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高ナトリウム血症の補正について

0000高ナトリウム血症>145mEq/L (血清Na正常値135~145 mEq/L)
0000 Na>160では死亡率60%以上、150では50%である

  • 高ナトリウム血症における水分欠乏量(㍑)}
    00000000=体重kgx体液分布率x(1-140/測定時Na)''
    (高ナトリウム血症を補正するための正常な水分量は、男性は体重の50%、女性は体重の40%)
    水分欠乏量の1/2を最初の24時間で補正し、残りを次の24~72時間で補正する。
    これらは一般的に2~3日かけて是正することが望ましいので安全係数として1/2 ~1/3を掛けた量を投与するのが原則である。
  • ΔNa(Na濃度変化)=[(輸液中Na+K)-血清Na]÷(体内総水分量+1) mEq/L
    ソリタT1で補正するとT1には90mEqのNaが入っているから(輸液中Na+K)=90となる。
    上の式からソリタT1の1㍑の投与で血清Na濃度が何mEq低下するが出るので
    ソリタT1の投与量が分かる。

高Naとなる状態

  • ①幼児や老人が、ナトリウムが多く水分の少ないものを与え続けられると高ナトリウム血症となる。
  • ②下利や嘔吐が続くと、ナトリムの低い体液が大量に失われることになるから、高ナトリウム血症となる。下利便にはナトリウムは40mEq入っており、胃液には55mEq入っている。血清のナトリウムは135~145 mEq。
  • ③利尿剤
    尿中のナトリムは10mEq以下であり、ラシックス(furosemide)による尿は75mEqである。利尿剤で尿をたくさん出すとナトリウム濃度の低い体液が大量に失われることになるから、高ナトリウム血症となる。
  • ④メイロン(NaHCO3)を大量に投与するなら、ナトリウムの負荷となり高ナトリウム血症となる。

参考
高齢者における高Na血症の背景
①肺炎・尿路感染症における発熱・発汗
②高血糖による利尿
③高カルシウム血症
④造影剤投与
⑤下剤の乱用、下痢
⑥夏季の多量発汗
⑦尿失禁のため飲水摂食制限**[I]高Na血症の弊害 [#nbbeb1e9]
①脱水
0000尿中Na10mEq/L以下、汗は80mEq/Lで体液に比べてNaがかなり少ない。
0000口から水を補給しなければ、体の中にナトリウムが残り、体から水が失われる。
②細胞外の浸透圧が高いと細胞障害が起こる
000細胞内の水が細胞外に移動し細胞内脱水となり細胞核の崩壊などを起こす。
000とくに脳細胞が障害されると脳症となる。それゆえ脳細胞は脳細胞内の浸透圧を
000高める防御機能を持っている

高齢者では
精神的要因、食事の影の響、舌咽反射 の異常、モルヒネ受容体の関与、口渇中枢の閾値が高値にシフトし血漿浸透圧が上がっても渇感が増強せず、飲水行動が遅れ高Na血症となりやすい。
さらには腎臓でのADHに対する反応性が低下して水分の再吸収が低下して高Na血症となりやすいし下垂体からのADH分泌不全となっていることもある。

[II] 体液が減少しているのか、増加しているのか、変わらないのかを区別する

生理食塩水の浸透圧は308mOsm
血清浸透圧=2×[Na]+[Glucose]/18+[BUN]/2.8 (細胞内液の欠乏をみるのに使う)
尿素は細胞膜を自由に行き来するため、細胞内外の浸透圧は変化せず血清浸透圧は 2×[Na]+[Glucose]/18 で一番大きな影響を与えるのはナトリウムであり高ナトリウム血症だと浸透圧は高くなるのである。
体液が増えている高ナトリム血症は稀であり、高ナトリウム血症は体液量が減っている

  • 体液が減少しているのであれば、まず生理食塩水を投与して体液を十分に補う。
    それから1号輸液(ソリタT1など)を投与して水を補う。体液の減少がひどいのなら、生理食塩水を輸液する前に、まず5%アルブミン(5%ブミネート等)を用いる。
    ただし、脳障害をもたらすので体液減少を補うのに1号輸液(ソリタT1など)、3号輸液(KN3Bなど)5%ブドウ糖液などの低張液を急速に大量に輸液すべきでない。
    体液を十分に補正してから、低張液を輸液して水を補い、浸透圧を下げる。
  • 体液が変わらないのなら、1号輸液(ソリタT1など)を投与する。この低張液を輸液することから開始する。
  • 体液が増加しているのなら、体液が増えている時はラシックス(furosemide)で利尿してから、低張液を輸液する。利尿剤のラシックス(furosemide)でナトリムを体外に排出し、さらに3号輸液(KN3Bなど)を投与して水を補う
    この時は1号輸液(ソリタT1等)でなく、3号輸液(KN3Bなど)を用いる。
    ラシックスによる尿は75mEqだが、ソリタT1は90mEqであるから、ソリタT1を投与したのではナトリウムを増やすことになる。75mEqより低張の3号輸液を使う。
    ラシックスで利尿をかけるだけでは、75mEqのナトリウムの低い液がなくなるだけだからかえって高ナトリウム血症になる。

[体液の減少を示す指標]

  • ①体重の急な減少、
  • ②尿中ナトリムが10mEq以下、
  • ③BUN クレアチニン比が20以上は体液の減少を示す(細胞外液量の低下)。出血の時に見られる指標である、
  • ④脈が100以上、
  • ⑤血圧低下、
  • ⑥意識障害、
  • ⑦尿量減少も体液減少の指標として使える。
  • ⑧尿比重>1.020は脱水を示唆する。 
  • ⑨低アルブミン血症がないのに、浮腫があれば体液は増大していると考える。

脱水を補正するためには

①不足な水分量=(正常な水分量-現在の水分量)で計算できる。
00正常な水分量は男性は体重の60%、女性は体重の50%であるが
00高ナトリウム血症を補正するための正常な水分量は、男性は体重の50%、女性は体重の40%とするのがよいと言われている。
体の中のナトリウム量は一定と考えられるから
(現在の水分量×現在のNa濃度)=(正常な水分量×正常なNa濃度)となる。
正常なNa濃度を140とすると、②現在の水分量=(正常な水分量×140/現在のNa濃度) となる。

[高Na血症の実例]

50kgの男性のナトリウムが160mEq/Lとする。
正常な水分量は50×0.5=25となり25Lである。
現在の水分量=25×140/160=22 だから現在の水分量は22Lである。
3Lの水分の不足である。
ソリタT1で補正するとすると、ソリタT1には90mEqのナトリウムが入っているから生理食塩水との差154-90=64が水であり、水の比は64/154である。
必要な輸液量をYとすると3=Y×64/154だから、Y=3×154/64=7.2となり、7.2Lの輸液が必要である。(48時間で落とすと150ml/時間となる)
水分の補正は48~72時間かけて非常にゆっくりとする。脳浮腫を防ぐためである。
5%ブドウ糖液では補正が速くなりすぎる恐れがあるから体液が増加している時を除き1号輸液(ソリタT1など)を使い、非常にゆっくりと補正すべきである。

※インスリンはブドウ糖と水を細胞内に運ぶ作用を持っているので体液量の減少している時にインスリンを投与によりさらに細胞外液が減少してしまうので体液量の減少がある時は体液量を十分に補ってから、インスリンを投与しなければならない。

参考
補正式1
''高ナトリウム血症における水分欠乏量(㍑)
00000000=体重kgx体液分布率x(1-140/測定時Na)''
(高ナトリウム血症を補正するための正常な水分量は、男性は体重の50%、女性は体重の40%)
水分欠乏量の1/2を最初の24時間で補正し、残りを次の24~72時間で補正する。
血漿欠乏量(㍑)=体重kgx0.2x(測定Ht/健常Ht-1)
これらは一般的に2~3日かけて是正することが望ましいので安全係数として1/2 ~1/3を掛けた量を投与するのが原則である。

Androgue-Madias式 
投与する輸液が血清Na濃度をどの程度補正するかをみる
体液減少量(L)=体重x体液分布率x(測定時Na/140-1)Lであるから
000000000000体液分布率は♂0.5 ♀0.4
ΔNa(Na濃度変化)=[(輸液中Na+K)-血清Na]÷(体内総水分量+1) mEq/L

50kgの男性のナトリウムが160mEq/Lとする。

ソリタT1で補正するとすると

補正式2
ΔNa=(90-160)÷(25+1)=-2.6mEq/L
ソリタT1の1㍑の投与で血清Na濃度は2.6mEq低下する。
すなわち、ソリタT1が384mlで1mEq/LのNa濃度の低下が予測される。
この男性は20mEq(160-140)の補正を48時間の補正速度であると安全であるから384ml x 20mEq=7680ml 000 7680÷48=160ml/時間以下でソリタT1を投与するとよいことになる。

参考

輸液による血清Na濃度変化の予測式
輸液1Lの投与による血清Na濃度の変化=
[(輸液中のNa+K濃度)-血清Na濃度]÷[体内総水分量+1]
体内総水分量=体重(kg)×0.6
例):血清Na濃度160mEq/L、体重50kgの人に5%ブドウ糖液(輸液中のNa+K濃度=0)を投与した場合:
[0-160]÷[50×0.6+1]=-5.2mEq/L
この結果、5%ブドウ糖液1Lの投与で血清Na濃度は5.2mEq/L低下する、即ち、5%ブドウ糖液192mLの投与で1mEq/Lの血清Na濃度の低下が予測される。
この予測式は、高張食塩水の投与による低Na血症の補正の際にも使用できる。

細胞外液と細胞内脱水の関係は

水分はまず血管から失われるため細胞外液の不足(水分とナトリウム)が必ず見られ、これが進行して慢性的になると細胞内液(水分)が動員され細胞内脱水が顕著になります。

等張輸液=生食、乳酸リンゲル
低張輸液=1~4号液、5%ブドウ糖
5%ブドウ糖浸透圧278mOsm<正常血漿290<生食308

源流文献
1)奥田俊洋;尿、「水の総合辞典」(久保田昌治ほか)、丸善、p354,2009
2)奥田俊洋;「わかりやすい水・電解質と輸液」、中外医学社,p27,2001
3)黒川清編集: NIM腎臓病学,第3版,医学書院,東京,1995
4)黒川清編集:腎臓病学:病態生理からのアプローチ,南江堂,東京,1995
5)Rose BD,Rennke HG:Renal Pathophysiology?The Essentials, William and Wilkins,Baltimore,1994
6)Rose BD:Clinical Physiologyof Acid-Base and ElectrolyteDisorders,5th Edition,McGraw?Hill,New York,2001
7)Kokko JP,Tannen RL,editors:Fluids and Electrolytes,3rd Edition,WB Saunders Co, Philadilphia,1996
8)Seldin DW,Giebisch G,editors:The Kidney,Phisiology and Pathophysiology ,3rd Edition,Raven Press,New York,2000
9)Fukagawa M,Kurokawa K,Papadakis MA: Fluid&Elecrolyte Disorders,Current Medical Diagnosis & Treatment ,edited by Tierney LM Jr,McPhee SJ,Papadkins MA,Lange Medical Books / McGrow Hill, New York,pp837?866,2005
                                                                                                                          
  

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