C型肝炎

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C型肝炎

はじめに

C型肝炎ウイルスキャリアは約150~200万人いるが約半数は安定した慢性肝炎の状態とみなされている。ALT上昇を伴う活動性の慢性肝炎は長期間・緩徐に病変が進行して肝硬変や肝癌に至ることが多い。
高齢化するにつれて病変進行が加速化し、ウイルス量やウイルス型は殆ど影響せずALTの高さとその持続期間が強く関連する。
C型肝炎ウイルスは1~6の遺伝子に分類されさらにa、bの亜型に再分化される。
日本のHCV株は約70%が1b型(1b型は難治性)、約20%が2a型、約10%が2b型であり、2a2b型はINF治療への反応が良好である。
ALT値やAFP値を持続的に低下させることでC型肝炎の肝線維化進展、発癌抑制効果が得るられることが明らかになっており、ALTやAFP値が異常値を示す場合で、IFN無効や非適応例に可能な限りALTやAFP値を持続的に下げる試みを行うことも有用である。

1950~1960年代前半を中心に覚醒剤や売血血液輸血などの医療行為を介して拡散し、1970年代初めに注目されるようになりました。血液を介して非経口的に感染します。
世界保健機構(WHO)による世界のC型肝炎の疫学データによると、感染者は世界人口の3%、約1.7億人とされています。
そのうち日本におけるC型肝炎ウイルス感染者数は150~200万人と推測されています。
60歳以上の感染率が高く、東日本に比べ、西日本でC型肝炎ウイルス感染者率が高い傾向がみられます。
わが国においては、新たな感染によるHCVキャリアの発生はごく稀に起こるのみで、15歳未満の年代では、HCVキャリアは極めて少数(0.02~0.05%程度)存在するにすぎなくなっています。
欧米ではHIVの25%がHCVに感染しており、すべてのHIVはHCV検査をすべきであるとされています。

キャリアー化

HCVに初めて感染した場合、その70%前後の人が持続感染状態に陥り(キャリア化)、その後、慢性肝炎となる人も多く、さらに一部の人は肝硬変、肝がんへと進行することがわかっています。
HCVが体に入って症状が出現するまでの潜伏期間は15~150日で、抗体が出現するまで抗HCV抗体は15週間で80%、5カ月で90%以上、6カ月で97%以上出現します。
HCVキャリアーのALTは、25%が正常(ALT<40Iu/ml)、45%が正常上限の2倍未満、30%が2倍以上の高値である。
わが国では、HCV感染率は約1.5%であり、150~200万人の感染者がおり、そのうち、約40~50万人は、肝機能が正常なキャリアーとされ、その肝臓組織検査をすると87%が何らかの異常をきたしており、5年以上観察すると肝臓機能正常を維持する人は僅か14%で、それ以外は持続的に異常を呈し治療を要する状態になることが分かっております。
年間約35,000人が肝癌で亡くなっており、肝癌患者の約8割の人がC型肝炎ウイルスに感染しています。
わが国では、1989年11月から輸血用血液のスクリーニングにC型肝炎の抗体検査(HCV c100-3抗体=第一世代抗体)が取り入れられました。
1992年2月からは広範囲の抗体検出が可能な第二世代の抗体検査が導入され、1999年10月からは世界に先駆けて核酸増幅検査(NAT)が導入され、HCV遺伝子を検出することが可能となりました。

感染成立直後のHCVは早いスピードで増殖することが分かっております。
HCVに感染すると少なくとも1~3週間後にHCV-RNAが出現しNATによりHCV-RNAは検出可能となります。
感染成立直後での血液中のウイルス量のダブリングタイムは10時間弱、10倍に増えるために要する時間は1.5日弱であることがわかりました。
従って、HCVに感染して少なくとも1~2週間後には核酸増幅検査(NAT)によりHCV RNAは検出可能となります。
C型肝炎ウィルスに感染しても3~4割の人は自然治癒してしまいます。
RNA検査で陽性の場合でも、自覚症状があまりない場合が殆どです。
C型肝炎は高率に慢性化し、平均70%がHCVキャリアとなります。
C型急性肝炎で慢性化する例の特徴はALT(GPT)が経過に従って増減し多峰性曲線を描くことである。
発症2~3カ月の間に二~三峰変化を見たときは慢性化する確率は極めて高い。その背景にはALT上昇に先行してHCV-RNA量の増加があり、ALTの下降に遅れてのHCV-RNA量の減少がある。

針刺し事故

針刺し事故の場合は、HCV抗体は感染後に陽性になるまで2~4週間かかるので、感染の機会があった方は、2~4週間後にHCV抗体検査と肝機能を検査したり、HCV-RNAも測定し、C型肝炎ウイルスの有無を調べ、針刺し事故等を起こした場合、約1.8%の割合でHCVの感染が起こるとの報告があります。

針刺し事故を起こした本人は、まず、できるだけすみやかに、流水中で血液を絞り出した(汚染血液の血中への侵入量を最小限にとどめ)後に、傷口を消毒します。
次に、被汚染者の血液にHCVが含まれているかどうかを検査します。
検査は、以下の手順で行います。
・ 汚染直後の被汚染者のHCV抗体検査
・ HCV抗体陽性の場合には、HCV RNA検査
(被汚染者がキャリアであるかどうかの確認)
・ 1週間後、2週間後の2回を目安としたHCV RNA検査(1カ月、6カ月、12ケ月の血液検査)

C型肝炎は亜急性の経過をとることが多く劇症化や急性増悪は稀である。
HCVに感染してから最初の20~30年の間に大部分の感染者において線維化進展は緩徐であり、肝硬変になる人は5~20%おり、肝臓癌は7%前後である。
(肝発癌関連因子は線維化の進行、高年齢、男、飲酒、ALT高値)

母子感染

HCVに感染した母親からは約5%の確率でHCVに感染した子供が生まれます。
万が一にも感染した場合は3カ月以上ALTの変動が続いた場合に1年以内に慢性肝炎に準じたINF療法を行うことである。
HCVキャリアの母親から生まれた子供には、母親の胎盤を通して移行するHCV抗体が12カ月位は残存しているので生後12カ月くらいまではHCV抗体検査を行っても感染の有無については判断ができません。
生後12カ月以前に感染の結果を調べる場合は生後2~3ヶ月経ってから核酸増幅検査NATによるHCVRNA検査かコア抗原検査を行います。
HCVキャリアの妊婦の約2.3%にHCVの感染が起こっています。
子供にHCVの感染が起こってしまった場合でも比較的早期(生後2年以内)にウイルスが身体から排除される場合もあること、また、子供の時は肝臓の病気が進みにくいために、成人してからでもインターフェロンなどによる治療が可能であること、なども明らかになっています。

新薬は如何に

東レは2005年に世界で初めて、都神経研と共同で試験管内でのHCVの培養に成功し、更に、このHCV培養システムで不活性化HCV粒子をマウスに投与して得た血清が、ヒト肝細胞に対するHCVの感染を抑制することを確認しました。
現在、ほぼ100%完治する「DEBIO-025」という新薬を臨床試験中であります。
実はこの新薬、ヒトの免疫効果を下げる薬品「シクロスポリン」によく似ており、与芝氏や下遠野氏の研究により、「シクロスポリン」がHCVの増殖を止めることが分かり注目を浴びております。
HCVは細胞内でタンパク質の形を変える酵素「シクロフィリン」を利用して殖えることがわかっており、「シクロスポリン」はこのタンパク質の働きを抑えることも分かっており、一方、「シクロスポリン」は免疫を弱める働きもあるため、ウイルスを殖やす可能性もあります。
その結果「シクロスポリン」によく構造が似ていて、免疫抑制作用のほとんどない「DEBIO-025」がつくられ、現在、臨床試験中で実用化が期待されております。

HCV感染スクリーニング

C型肝炎ウイルスは直径55~57nmの球形RNA型のウイルスで、ウイルス粒子は、遺伝子(RNA)とこれを包んでいるヌクレオカプシド(コア粒子)、そして、さらにこれを被う外殻(エンベロープ)から成り立っております。

[HCV感染スクリーニング]

         C型慢性肝炎
           ↓              
000-------------------------------------------0000
HCV抗体陰性               HCV抗体陽性
 ↓                      ↓
 ↓                    HCV-RNA定量
 ↓                アンプリコアモニターRNA 定量法
 ↓                   ハイレンジ法   0000000000000000000000000------------------------------------00    
 ↓               ↓             ↓  
 ↓            0.5 KIU/ml未満      0.5KIU/ml以上  
 ↓               ↓              ↓
 ↓        アンプリコアモニターRNA 定性法(NAT)     ↓
 ↓        ↓            ↓        ↓
 ↓        陰性          陽性        ↓
 ↓        ↓            ↓        ↓ 
   既往の可能性                C型慢性肝炎    
   他疾患の疑い       

※ 測定法の比較
     -----アンプリコア定性50~100 iu/ml(遺伝子増幅技術)
   -----versant 20~50  iu/ml             (遺伝子増幅技術)
           ---------------------------アンプリコアハイレンジ法 
00000000000000000000000000000000005000~5x106(核酸定量法)
0000-------------------------------------------------------------------------
00000000000000000000000000000000000TaqMan法15~6.9x107 iu/ml 
00----------------------------------------------------------------------------
000000000000000000000000000000000AccuGene法12~108iu/ml
0000000000000000(コア抗原Lumipulse)
000000000000000000000--------------------------------------------
000000000000000000000000000000000CIEIA 2000~4x107 iu/ml

[HCV抗体とは]
HCVのコア粒子に対する抗体(HCVコア抗体)、エンベロープに対する抗体(E2/NS-1抗体)、HCVが細胞の中で増殖する過程で必要とされるタンパク(非構造タンパク)に対する抗体(NS抗体:C100-3抗体、C-33c抗体、NS5抗体など)のすべてを含む総称です。

高力価とはCOIが50以上、中力価とはCOIが5以上50未満、低力価とはCOIが1以上5未満、COIが1未満は陰性(COI=カットオブインデックス)とされます。
これまでの検討から、HCV抗体陽性例のうち、HCV抗体「高力価」群では、その98%以上にHCV─RNAが検出される(HCVキャリアと判定してよい)こと、また、HCV抗体「低力価」群では、そのほとんどでHCV―RNAは検出されない(HCVの感染既往例と判定してよい)ことが明らかとなっています。

Ⅰ.「現在C型肝炎ウイルスに感染していない可能性が極めて高い」
⑤陰性 (COI 1未満)
④低力価 (COI 1以上 5 未満)
③中力価 (COI 5 以上 50未満)であり且つRNA 陰性
の3 群が含まれます。
Ⅱ.「現在C型肝炎ウイルスに感染している可能性が極めて高い」
②中力価 (COI 5 以上 50未満)であり且つRNA 陽性
①高力価 (COI 50以上)
の2 群が含まれます。

HCV 抗体が陽性であっても、HCV 抗体「低力価」と判定される群では、そのほとんどでHCV-RNA は検出されない(HCVの感染既往例と判定してよい)ことから、必要以上にHCV 抗体の検出感度が高い(必要以上に低力価のHCV 抗体を検出する)試薬を用いることは意味がありません。

ウイルス抗体検査で陽性だった方は、ウイルス遺伝子検査を受けます。
このHCV-RNA(ウイルス遺伝子)定性検査が陽性となって、肝機能検査で異常がみられるとC型慢性肝炎と診断されます。
HCV-RNAが陽性反応だったとしても肝機能が正常であれば、定期的な検査を行い、必要であれば治療という流れになります。ただ、患者の年齢によれば治療をすぐにはじめることもあります。
肝機能に問題がなくてもすぐに治療をはじめなければいけない場合もあるので注意が必要です。

治療の対象をどう捉えるか!!

HCV-RNA陽性が確定したHCVキャリアが、治療の対象であるか否かをまず評価

  • (1)ALTが異常値であればC型慢性肝疾患の可能性は高いが、脂肪肝や自己免疫性肝疾患の合併またはアルコール摂取によるALT値上昇を見極める
  • (2)ALT正常HCVキャリア(HCV carrier with persistently normal ALT[PNALT]の70~80%は実際に肝炎を発症している
  • (3) 肝病変が高度進展して見かけ上ALT値が落ち着いていることもあるので肝予備能、血小板数、肝線維化マーカー、画像による評価を行う。
  • (4)インターフェロン(interferon;IFN)治療を受ける患者の背景(年齢、合併症)に問題がないことを確認する。
  • (5)免疫抑制状態や透析患者ではHCV感染があっても抗体検査が陰性となることがある。

検査スケジュール
1)HCV-RNA量測定
000治療開始から4週毎にHCV-RNA量測定が必要。
2)血液検査
0000PEGイントロン・REB併用療法では治療開始後8週まで、
0000ペガシス・コペガス併用療法では投与終了まで、
0000投与当日に血算を行う。
効果判定時期
Rapid virological response(RVR);治療開始4週時点で陰性化している。
Complete early virological response(c-EVR); 治療開始12週時点で陰性化。
End-of-treatment response(ETR);治療終了24週時点で陰性化。

●HCV感染関連肝外疾患
クリオグロブリン血症、特発性血小板減少症、関節リウマチ、自己免疫性甲状腺炎、各種糸球体腎炎など

治療目標
肝炎の沈静化により線維化の進行を抑え、肝硬変・肝癌への進展を防ぐことである。

C型肝炎はF1(血小板数18万), F2(Plt 15万), F3(Plt 13万), F4 (肝硬変) と進行し,病期の進展とともに肝癌の発現率は上昇します.
1段階悪化するのに平均7~8年かかるとされています.

参考
F0 線維化なし  F1 門脈域の線維性拡大 F3 小葉の歪を伴う線維性架橋形成
F4 肝硬変
A0 壊死・炎症所見なし A1 軽度の壊死・炎症所見 A2 中等度の壊死・炎症所見
A3 高度の壊死・炎症所見

●肝病変の進展度(実用的判別式)
-なら慢性肝炎  +なら肝硬変
γグロブリン(%)x    0.124

  1. ヒアルロン酸(ng/ml)x 0.001
  2. 血小板(万)x -0.075
  3. 性別(男=1女=2)x -0.413
  4. (定数)       - 2.005

IV型コラーゲン7sやICG15も参考になる。
線維化検査法としてエラストメーターが普及しつつありますが、確定できない場合は肝生検を
考慮すべきである。

(線維化を早める因子)
男性、高齢、肥満、糖尿病、脂肪肝、多量の飲酒、ALT高値、鉄の肝蓄積、HIVやHBVの重感染

インターフェロンについて

(I)インターフェロンの適応
原則としてALT異常でHCV感染を認めるすべての成人
高齢者の慢性肝炎は糖尿病・高血圧などの合併症のため治療適応外となることある。
高齢者のINF単独療法では75歳、リバビリン併用療法では65~70歳が上限と考えられているが、全身状態(心・腎・糖尿病・癌など)、肝病変進展度(発癌リスク)、genotype、RNA量などで総合的に
判断する。
3歳以下は適応無し。
ALT正常の無症候キャリアーに対して適応は定まっていない。
自己免疫疾患、うつ症、間質性肺炎、自己免疫性肝炎、小柴胡湯服用者、眼底異常には投与しない。
高度の肝不全や門脈圧亢進を伴う非代償性肝硬変例にはINF療法は禁忌である。

(II)インターフェロンの副作用

治療初期(1週間以内) インフルエンザ様症状、掻痒症
治療中期(1~8週)  血小板減少、白血球、好中球減少、
00000000貧血症状、うつ傾向、眼底出血、皮膚症状(皮疹・脱毛)、
00000000心腎不全・不整脈・浮腫などの腎・循環器症状
後期(2ケ月以降)000自己免疫異常(自己免疫性肝炎)、間質性肺炎、
00000000000蛋白尿・糖尿病の悪化、脳血管障害、横紋筋融解、
00000000000これらはコントロール不良の高血圧・糖尿病に多い。

(III)INFによる甲状腺機能異常(治療開始して12週以内に発症することが多い)
FT3/FT4/TSHは毎月測定⇒TRAb/Tg-Ab/TPO-Ab⇒RI(シンチ)

C型肝炎の抗ウイルス療法(ウイルス排除)

 

[1]初回治療投与

初回投与では高ウイルス量症例にPEG-INF・RIB併用は限られる。


0000000000000000genotype1(1b型)00000000genotype2(2a/2b型)
高ウイルス量    PEG-INFα・2b(2a)+リバビリン併用  PEG-INFα・2b+リバビリン併用
PCR法5.0 log (IU) /ml以上   (48-72週)           (24週)
コア抗原300 fmol/l以上 INFβ+リバビリン併用(48-72週)  INFβ+リバビリン併用(24週)
Probe法1Meq/ml以上   ウイルス排除治癒率:約50%  治癒率:約80-90%
Ampulicore法100KIU/ml以上


低ウイルス量     INF単独(24週)    INF単独療法(8-24週)
5.0 log (IU) /ml未満 PEG-INFαー2a単独療法   PEG-INFαー2a単独療法(24~48週)
300 fmol/l未満    (24~48週)        
1Meq/ml以上     治癒率:約80-90%      治癒率:約80-90% 
INF単独療法は原則入院の上、最初の2週間は通常量を連日投与投与後、週3回の間欠投与にする。


●初回投与で低ウイルス量の場合、genome typeに関わらず
1)PEG-INFα-2a単独療法は週1回の投与で済むが、毎回投与前に末梢血データをチェックして血球減少がないかを評価し、必要であれば薬剤の減量・中止の指示する。
2)IFN単独療法は自己注射も認められ、週3回、注射直後でのインフルエンザ様症状がPEG製剤に比し顕著である。
●Genotype1型・高ウイルス量症例において
3)Late Responder(治療開始12週までにHCV-RNAが陰性化しなかったものの24週目までに陰性化した症例)では72週まで治療期間を延長することでreal timePCR法で著効率70%まで改善が認められた。
●1型高ウイルス量の難治性例において治療開始早期12週以内のウイルス陰性化(early virological response;EVR)が重要で、EVRが認められない例ではその後の治療中にウイルス陰性化が得られたとしても48週間の標準治療後にウイルス血症の再陽転化(無効)となる例が大多数あるのでこのような例には72週間の投与を行うことで著高率を上げることができる。
●1型、高ウイルス症例へのペグIFN+リバビリン併用療法の投与期間延長(72週間投与)の基準:
投与開始12週後にHCV-RNA量が前置の1/100以下に低下するが、HCV-RNAが陽性(Real timePCR法)で、36週までに陰性化した症例において、プラス24週(トータル72週間)の投与期間を延長する。
(なお、50歳以上の女性、血小板が13万以下の症例、または肝生検でF3の症例では投与開始9週目以降にHCV RNAが陰性化した症例では72週間投与も考慮する。)

●1型、高ウイルス症例へのペグIFN+リバビリン併用療法で投与開始36週後にHCV-RNAが陽性でもALT値が正常化例は、48週まで継続治療を行い、治療終了後の長期ALT正常化維持を目指す。

●1型高ウイルス量症例に対する治療反応性から見た治療戦略
PEG-INF・RIB併用48週間投与では、治療開始後12週時点までに、開始前の1/100以下へのpartial early virological response(p-EVR)
が得られない症例では48週間治療で著効が得られる可能性は殆ど無いのでこの時点で治療を終了する。(12週ルール)

LVR(13~24週)でも治療終了後、HCV-RNA再燃が高率に起こる。
LVRの中でも陰性化時期の早い症例では72週間投与を行った場合、著効が得られやすい。

●Genotype2型(2a/2b型)高ウイルス量症例に初回INF治療を行う場合は、PEG-INF(α-2b)・RIB併用24週治療が推奨されている。著効率80~90%

1型高ウイルス量症例の治療成績
0000HCV-RNA陰性化時期の著効率
0000治療開始後4週間時点 100%
0000000000005~12週時点  71%
000000000000013~24週時点 36%
1型高ウイルス量ではRVRが得られても可能なかぎり48週間の標準投与を1型高ウイルス量以外の時でも24週間の標準投与を行うべきである。

[2]再治療

初回治療での無効要因を検討し治療目的の治療か進展予防(発がん)を目指しALT,AFP値の正常化あるいは安定化のための治療法を選択する。
再投与ではgenotypeやウイルス量にかかわらずPEG-INF・RIBは投与可能
①治癒目的の再治療

1. 初回1型高ウイルス量症例でIFN再燃(relapse)・無効(no response)例への再投与はIFN(α-2a/β-2b)+リバビリン併用療法48~72週間投与が治療の基本である。

2. 初回1型高ウイルス量症例でIFN+リバビリン併用療法の再燃(治療後36週までにHCV-RNA陰性例への)再投与は、PEG-IFNαまたはIFNβ+リバビリン併用療法
72週間投与が望ましい。

3. 初回低ウイルス量症例でIFN再燃・無効例への再投与は、PEG-IFNαまたはIFNβ+リバビリン併用療法が治療の基本である。

4. うつ病・うつ状態などIFNαが不適応およびPEG-IFNα+リバビリン併用療法で、うつ状態が出現した症例に対してはIFNβ+リバビリン併用療法を選択する。

5. リバビリン併用療法を行う場合には、治療効果に寄与するホスト側の因子である、

年齢、性別、肝疾患進行度、IL-28のSNPおよびウイルス側の因子である遺伝子(Core領域70,91の置換、ISDR変異)、Real time PCR法によるウイルス量などを参考にし、治療法を選択することが望ましい。

6. 初回INF単独療法が再燃もしくは無効であったgenotype2型(2a/2b)高ウイルス量症例に対する再投与でもPEG-INF(α-2a/2b)あるいはリバビリン併用24週治療が推奨されている。

●リバビリンを併用せずに初回INF治療で著効が得られなかったgenotype1型・高ウイルス量症例の再投与でもPEG-INF・リバビリン併用48もしくは72週治療が推奨されている。

②進展予防(発癌予防)の治療
日本人のC型肝炎ウイルスによる肝臓がんは、その70~75%が1型高ウイルス量の難治性タイプで、残りの20~25%が2型である。

1. INF+RBV併用療法の非適応例あるいはINF+RBV併用療法で
000000無反応例では発癌予防目的のINF長期投与が望ましい。
000000なお、INF製剤(PEG製剤除く)は在宅自己注が可能

2. IFN非適応例およびIFNでALT値、AFP値の改善が得られない症例は肝庇護剤(SNMC、UDCA)、瀉血療法を 単独あるいは組み合わせて治療する。

3. 進展予防(発癌予防)を目指した治療のALT目標値はstage 1(F1)では、持続的に基準値の1.5倍以下にコントロールする。stage 2-3(F2~F3)では、極力正常値ALT≦30IU/Lにコントロールする。

PEG-INF単独療法の適応(INF-α-2aのみが保険認可)
副作用のためPEG-INF・RIB併用療法が困難な例や初回投与の低ウイルス量例が適応になる。

  • ①PEG-INF単独療法の治療期間(ウイルス排除目的)
    治療開始4週目のHCV-RNAが陰性化していれば24週間を、反応が鈍ければ48週間を考慮する。
    000◯PEG-INFα-2a(ペガシス)180μg週1回皮下注
  • 肝硬変(線維化)への進展や肝癌抑止目的

PEG-INFα-2aの少量継続投与
000◯PEG-INFα-2a 180μg隔週皮下注
000◯PEG-INFα-2a 90μg週1回もしくは隔週皮下注 

半減期77時間、血中濃度持続時間168時間、腎クリアランスに影響しない。

例: PEG-INF・RIB併用の非適応例・無反応例に

「最初の2週間は通常量の連日または週3回間欠投与とし、その後は週3回の間欠投与。最大8週間でHCV-RNAが陰性化しない例は通常量の半分量を長期間投与する」

INFα製剤は自己注が可能ですがPEG-INF単独療法では週1回の通院と注射前血液検査が必須です。

  • ③PEG-IFNα+リバビリン非適応例・無反応例に対するIFN単独長期療法は、最初の2週間は通常量の連日または週3回間歇投与とし、最大8週間でHCV RNAが陰性化しない症例は通常量の半分量を長期投与する。

ウイルス性肝硬変に対する包括的治療のガイドライン

A)治癒目的のINF療法(C型肝炎)
1. 1b高ウイルス量以外のC型代償性肝硬変に対するINF療法(INFβ:フエロンあるいはINFα:スミフェロン)は治癒率も比較的高いことから年齢、血小板値と副作用の素因などを考慮して積極的に行うのが望ましい。

2. 1b高ウイルス量のC型代償性肝硬変に対するINF療法(INFα:スミフェロン)は治癒率も低いことから1L28Bの遺伝子やISDR,Core領域aa70の遺伝子変異を測定し条件の良い症例を選択すべきである。

B)発癌予防および肝癌再発予防目的の治療

1.C型肝硬変で治癒目的のINF無効例にはALT,AFP値の低下を目指しINF(INFα:スミフェロン)の少量長期療法を行う。またはALT値改善を目指しSNMC,UDCAなどの肝庇護療法を行う。

2.肝硬変症例には血清アルブミン値を考慮して分岐鎖アミノ酸製剤(リーパクト)を使用して発癌抑制を目指す。

C型慢性肝炎に対する治療の中止基準

ペグIFNα+リバビリン併用療法を行っても投与開始12週後にHCV RNA量が前値の1/100以下に低下がなくHCV RNAが陽性(Real time PCR法)で、36週までに陰性化がなく、かつALT・ASTが正常化しない症例は、36週で治癒目的の治療は中止する。

肝炎の治癒及び発癌抑制を目指した血清ALT正常C型肝炎(ウイルス血症は存在)への抗ウイルス治療ガイドライン
肝の線維化が進行しALTが持続高値を呈している例では、血清ALT値とPltを目安に治療するタイミングを決める。
●ALT正常HCVキャリアの70~80%は肝炎を起こしている。
●高度の線維化を有する肝硬変例では発癌リスクは年率7%と高率であるが、ウイルス学的にHCV 2型感染例で、INF治療は有用である。

HCVに感染しているチンパンジーの保存血清を調べたところ、HCVのエンベロープタンパクが次々と変異していくのを追いかけるように、変異する前のエンベロープタンパクに対する抗体が次々と作られていることが明らかにされています。
いいかえれば、元来中和抗体としての働きを持つエンベロープ抗体の攻撃を逃れるように抗体が反応できない
エンベロープに着替えながら(変異しながら)HCVは持続感染状態を続けているといえます。
チンパンジーを用いた感染実験により、感染初期(HCV抗体ができる前)の血清を用いた場合、HCV RNAの絶対量として10コピーオーダーのHCVを接種すると感染が成立することがわかりました。
この結果は、感染後ごく早期(NATのウィンドウ期)に献血された血液は、NATによってもウイルスが検出できずに感染源となってしまうことがあることを示しているといえます。

C型肝炎の抗炎症療法(ALT値を低値に肝炎進展を抑制)

リバビリン併用のINF治療を行なったものの著効が得られなかったケース、またINF治療が併存疾患・年齢などによって適応外のケース

  • 1) ウルソデオキシコール酸(ウルソR)ウルソ600mg~900mg/day
    UDCA600mg/dayでpred5mgに相当か
  • (2)グリチルリチン製剤(強力ネオミノファーゲンC注R )
    SNMC4060ml/回を週2~3回の単独もしくは併用療法でALT正常上限1.5倍以下を目標とする。
  • (3)瀉血療法鉄が過剰に蓄積するとヒドロキシラジカルという非常に毒性の強いフリーラジカルが発生し肝細胞を破壊
    血清フェリチン値を指標に2週に1回200~400ml血液を抜きます.
    ALT値は30~40%低下します.高齢者や貧血気味の人には1回50ml週3回の少量瀉血療法
  • (4) インターフェロン少量長期療法
    インターフェロンの1/2~1/3量といった少量のインターフェロンを長期に継続してALT値を低下させ,将来の肝発癌を抑制

C型肝炎の初めの3カ月は間の治療は肝炎を抑制する治療は行わず対症療法のみを行い、発症3カ月を過ぎて慢性化阻止が必要と判断した場合はINF療法を行う。
INFは進展を抑制しているだけで進展を停止させているわけではないので徐々に進展している。
慢性肝炎でも進展例からの発癌の可能性は残されている。
SNMCの投与によりALTを50未満に維持できた例は殆ど肝発癌を見なかったので発癌抑制の面から大切である。

C型肝炎の血漿交換療法

ALT (GPT)値が基準値以内のC型肝炎の治療(抗ウイルス治療ガイドライン)

ALT正常HCVキャリアの70~80%は肝炎を起こしている。

        血小板数 15万/μL以上       血小板数 15万/μL未満


血清ALT値 2~4ヵ月毎に血清ALT値フォロー。0000線維化進展例がかなり存在する
30IU/L以下 ALT異常を呈した時点で完治の可能性000可能なら肝生検を施行し
0000000発癌リスクを評価し、抗ウイルス療法を000F2A2以上の線維化例に抗ウイルス
0000000000考慮000000000000000000000000療法を考慮。       

000000000000000000000000000000000000肝生検非施行例は2~4ヵ月毎に血清
00000000000000000000000000000000000ALT値を測定し、異常を示した時点で
00000000000000000000000000000000000000000000抗ウイルス療法を考慮。


血清ALT値  65歳以下は抗ウイルス療法の考慮     慢性肝炎治療に準じる。 0000000000000000000000000000000000000(遺伝子型、ウイルス量、年齢などを
0000000000000000000000000000000000考慮し通常のC型慢性肝炎に準じて治療を
000000000000000000000000000000000000000000000選択する)
31~40IU/L                 (抗ウィルス療法)
組織学的に慢性肝炎が多い


PEGインターフェロン+リバビリンの併用療法は

毎日リバビリン服用すると同時に、1週おきにPEGインターフェロン投与で1年間(48週間)継続し、ウイルス消失後6カ月様子を見てウイルスが再出現しなかったら駆除成功と判定する。成功するか否かは12週の時点でウイルス量が減っている時は駆除成功の可能性が高い。
リバビリンにより、Hbは低下し、8週目以降は低値で推移し投与終了後投与前値に戻る。

このインターフェロン療法での再燃ケースの駆除率は62.6%で、インターフェロン療法が全く効かなかった場合でも19.2%が駆除に成功している。

インターフェロンが奏功するかどうかを規定する3因子
①ウイルス量 ②サブタイプ ③肝硬変への進行度合
サブタイプはIa,Ib,IIa,IIbの4型に大別される。Iaは1% , Ibは70%, IIaは15%,IIbは10%

INFとリバビリン(コペガス)について

  • 1) INF-α製剤には、天然型(natural)と組替え型(recombinant)がある。
    000組替え型INFではINFに対する抗体が産生されることがあるが、効果では差がない。
  • 2) INF-β製剤は天然型のみで点滴静注で投与する。精神症状はα製剤より少ない。αもβも半減期は3~8時間である。
  • 3)PEG-INF(Pegylated interferon)
    0001. PEG-INFα-2a(ペガシス) 180μg/皮下注/週1回  脈管系に分布する。
    0002. PEG-INFα-2b(ペグイントロン) 60~150μg皮下注/週1/回
  • 4)リバビリン(コペガス200mg錠 1回1~3錠 1日2回 1日量3~5錠 )催奇形性が少ない。
    薬剤中止後1~2ケ月で体外に排出される。

ペガシスは血小板減少がするので2週に1回以上の末梢血検査が義務付けられている。
ペガシスとコペガシスの併用療法は「C型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善」の適応を有する薬剤である。
C型代償性肝硬変は約6万人いる。

血液1cc中のウイルス量が100万個以上の時は効きにくく、100万個以下のときは駆除効果が大きい。
ペグイントロン(peginterferon α-2b)は1回1.5μg/kgを週1回皮下注
投与量の目安
ペグイントロンを注射用水0.7mlに溶解したとき、溶解液0.5ml中に下表量のpeginterferon α-2bを含有する。
     投与量    使用バイアル      液量
35~45kg  60μg   100μg/0.5ml用     0.3ml
46~60   80     100           0.4
61~75   100     100           0.5
76~90   120     150μg/0.5ml用     0.4
91~120  150     150           0.5
リバビリン(コペガス)用量・用法
体重     1日投与量  朝---昼---夕食後
~60kg    600mg/day 1—0—2錠
60~80kg 800mg/day  2—0—2錠
80kg~ 1000mg/day  2—0—3錠

PEG-INF/RIB(コペガス)の中止・減量基準
リバビリン併用にあたってHb>12g/dlであることが望ましい。
1)心疾患やその既往のない例
00RIB減量  ペグイントロン
10g/dl未満  600→400/day  変更なし
00000000000000800→600
00000000000001000→600
8.5未満     中止      中止

2) 心疾患やその既往のある例
10g/dl未満で投与前・中に比べて2g/dl以上の低下が4週間持続するときは上表の減量とする。
8.5g/dl未満で減量後4週間しても12g/dl未満の時は両剤を中止する。
3) RIBとペグイントロンを併用するに当たって
白血球4000または好中球1500以上、血小板10万以上であることが望ましい。
WBC1500未満、好中球750未満、Plt8万未満のとき
     RIB変更なし、ペグイントロンを半量減量
WBC1000未満、好中球500未満、Plt5万未満のとき、両剤中止する。

PEG-INFα+RBV併用療法中の減量・中止基準(ペガシス+コペガス併用療法)
              ペガシス    コペガス
好中球  750/μl未満   90μgに減量     変更なし
好中球 500/μl未満     中止       中止
血小板 5万/μl未満     中止       中止

参考文献
1)Lauer,GM,et.al. Hepatitis C virus infection. N.Engl.J.Med.345,2001.41-52
2)日本肝臓学会 編、慢性肝炎の治療ガイド2006

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