NPPV

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非侵襲的陽圧換気(NPPV)

NPPV(非侵襲的陽圧換気)は人工呼吸器として使用され, 1980 年代の初めに,マウスピースを使用した口からの人工呼吸として始まり,その後,筋ジストロフィーを対象に夜間の鼻からの人工呼吸として行われました。
さらに 1990 年頃に小型で軽量の bilevel PAP (バイレベル気道陽圧)が出現したことにより,急速に利用されるようになりました。
高CO2血症を伴う慢性呼吸不全のNPPVは1990年初め頃より,結核後遺症,筋ジストロフィーなどの非侵襲的呼吸管理として始まり,COPDの急性増悪,急性呼吸不全の呼吸管理へと普及しております。
慢性呼吸不全において補助換気を行う目的は,睡眠障害,呼吸困難,高CO2血症の悪化の改善である。
NPPV はマスクを使用し,挿管を行わないので,一般的には喀痰喀出困難や誤嚥,
ショックなどの循環器系が不安定な場合は適応となりません。
導入に際しては気胸がないことを確認することが大事で、通常は意識下に導入するため,患者の協力が必要である。
急性期にはフルフェイスマスクを装着し,容態の安定化に伴って鼻マスクに変更することが多い。
サイズの選択やフィッティングに留意する必要がある。
NPPVにはCPAPとBi-level PAPの2つのモードがある。
CPAPは吸気・呼気を通じて気道に一定の陽圧がかけられる。
CPAPでは患者が自力で換気を行うことになり、最もサポートの少ないモードである。
人工呼吸器離脱に近い患者の呼吸管理に適している。呼吸不全患者では呼吸仕事量が増加しているため、CPAPだけでは換気補助が足りないことがある。
そのため、Pressure support(PS)と共に使われることが多い。
CPAPあるいはCPAP+PSは自発呼吸に依存するため、神経筋疾患や筋弛緩薬の使用により自発呼吸が制限されている場合には使用してはならない。
CPAPは呼吸周期を通じて一定の陽圧を維持するもので心原性肺水腫の治療に用いられる。
Bi-level PAPはCPAP+PS同様に吸気時に一定の陽圧をかけて換気を補助するものでCOPD急性増悪で用いられる。
Bi-level PAPではIPAPとEPAPの差がPSに相当する。
CPAPで5cmH2O程度、Bi-level PAPではIPAP8 EPAP4cmH2O程度の低圧から開始し患者が慣れるに従い圧を上げていくと協力が得られやすい。

Bilevel PAP(バイレベル気道陽圧で吸気圧と呼気圧の圧差による換気法) 装置の構造と特性は、吸気を補助するための高いIPAP(吸気気道陽圧)と,呼気時の低いEPAP(呼気気道陽圧)の2段階の陽圧を供給する bilevel PAP という換気様式をとり、回路内は常に陽圧に保たれている。
IPAPを上げることにより換気量は増加し,PaCO2値は低下する。
EPAP は上気道の開存や肺気量の増加に役立ち,呼気の再呼吸を避けるために4 cmH2O以上が推奨される 。
IPAPとEPAPの切り替えを定める換気モードは,調節換気と患者の自発呼吸を検出する補助換気に大別され、

  • Sモード(自発呼吸を検出してIPAP とEPAPを供給する換気モードでIPAP とEPAPの時間と呼吸数は自発呼吸に依存する)、
  • T モード(予め設定した呼吸数と吸気時間に従い自動的にIPAPとEPAPが切り替わる換気モード)、
  • S / T モード(自発呼吸が検出されなかった場合に,自動的にIPAPが供給 さ れ る バ ッ ク ア ッ プ 機 能 を 備 え た 換 気モード)の3種類が選択できる。

トリガー検出から IPAP を開始するまでの応答時間や IPAP への到達時間(ライズタイム)は機種によって異なる。IPAP からEPAP への切り替えのタイミングは,患者と装置の同調性において大切な因子である。
酸素の併用については、多くの装置で酸素は15 L/分程度まで投与できるが,圧力やマスクの呼気排出量,リークの有無によってFIO2(吸入気酸素濃度)は変化する。
加湿はNPPV では開口によるリークがあると圧を補正するために大量の空気が一度に流れて,鼻や口の粘膜を乾燥させるだけでなく,鼻詰まりを起こしてさらに口呼吸を招く要因ともなるので加温加湿を行うことが望ましい。
インターフェイス(鼻マスクとフルフェイスマスク)については、鼻マスクは口を閉じていないと有効な換気ができない。
フルフェイスマスクは,開口がある場合や急性呼吸不全の治療に用いられる。会話が制限され,呑気による腹部膨満や窒息を生じる可能性があることから,慢性期や在宅療養には適していない。
NPPV 専用装置はリークが生じてもフローを自動的に増やして供給圧を保つが,鼻マスク使用時に開口による著しいリークがあると肺への換気量が減り,患者と装置の同調性が損なわれ,長時間に及ぶ場合は睡眠の質も低下する。
導入時期の判断と説明
慢性呼吸器疾患では基礎疾患が徐々に進行し換気補助が必要となることが多い。高CO2血症を呈する患者( 拘束性換気障害および COPD 慢性期)で,睡眠時低換気に由来する症状や,右心不全の徴候がみられ,在宅酸素療法(HOT)施行中にもかかわらず急性増悪を繰り返す症例は,NP P V の導入を検討する必要がある。
患者と家族に対して現在の病状,睡眠時の低換気,換気補助の必要性,期待される効果,副作用,NPPV 不適応時の対応を説明することが必要である。
マスクの種類とサイズの選択、送気の確認と呼吸法の指導、日中の使用と夜間就寝時の使用などの説明や指導も必要である。

導入時の条件設定
患者の呼吸と人工呼吸器が同調しているどうかを判断する。
S / Tモードで自発呼吸と装置の圧力が同調しない場合は T モードに変更する。
その場合,呼吸数は自発呼吸と同じか数回多めにし,圧力も高めに設定して,自発呼吸をやめて装置の圧力に乗って呼吸するよう説明する。
IPAPは,初日は圧に慣れることを第一目標とし低めにとどめるが,2 日目以降は自発呼吸時より2~4 mmHg低いPaCO2 を目標に徐々に上げて、最終的には N P P V導入前と比べて10mmHg程度低い値を目標に調整する。
圧を上げた場合、患者が耐えられる IPAP が上限となるが気胸の発現に注意して慎重に調整する。EPAP は,導入初期に息が吐きづらいと訴えた場合は2~3 cmH2Oまで下げてもかまわないが,呼気の再呼吸を防ぎ,自発呼吸の感知を確実にするために 4 cmH2O 以上が推奨される。

導入時の初期設定
モード: S/T
IPAP: 6 ~ 8 cmH2O
EPAP: 4 cmH2O
呼吸回数: 12 回 /分
最大 IPAP 時間: 1.7 秒
(最小 IPAP 時間: 0.5 秒)

NPPVが適応となる疾患
[I] 急性換気障害にはエビデンスが示されております。
①非常に強いエビデンス
COPD急性増悪、急性心原性肺水腫、免疫不全に合併する呼吸不全
②やや強いエビデンス
術後呼吸不全、気管挿管人工呼吸からのweaningの促進、喘息、cystic fibrosis 、気管挿管拒否患者の呼吸不全
③弱いエビデンス
  ARDS、外傷、上気道閉塞

[II]慢性換気障害:  拘束性換気障害、COPD、肥満低換気障害
慢性換気障害は有効性が示唆されているもののエビデンスが確立されていないというのが現状です。
この他にも肺結核後遺症、脊椎後側湾症などの拘束性換気障害、COPD、肥満低換気障害のほかにチェーンストーク呼吸や神経筋疾患にも適応できると言われております。

★NPPVの適応

  • 中等度から重度の呼吸不全
  • 多呼吸
  • 呼吸補助筋の使用、または奇異呼吸
  • ガス交換の異常  
       pH<7.35 PaO2 >45Torr もしくは PaO2/ FiO2 <200

NPPV導入条件

  • 意識状態がはっきりしていて、協力的
  • 循環状態が安定している
  • マスクに対して拒否的でない
  • 顔面に外傷がない
  • 気管挿管が必要でない ---気道が確保され、痰の排出ができる
  • 消化管が正常に機能している (イレウスがない )

★ NPPVの禁忌
呼吸停止、血行動態が不安定、 気道が保護できていない
大量の喀痰 非協力的あるいは不穏  マスクがフィットしない
顔面熱傷、外傷、手術または奇形
最近の上気道あるいは上消化管の手術の既往

  • 昏睡、意識状態が悪い
  • 自発呼吸のない状態での換気が必要
  • 咳反射がない、もしくは弱い
  • 気胸がある( NPPV開始前に胸腔ドレーンの挿入が必要)
  • 誤嚥の危険性が高い

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